みなさん、こんにちは。
XR250 BAJA(MD30)のフロントフォークを、インナーチューブのサビをきっかけに、取り外し・分解・再メッキ・スプリングの処理・組み立てまで自分で整備しました。記事が20本近くに分かれてしまったので、作業の順番・かかった費用・年式による違いをこの記事にまとめます。
なお、私は整備士ではありません。ここに書いた数値や手順は私の車両での実例です。作業するときは、ご自分の車両の型式に合ったサービスマニュアルで確認してください。

結論:XRのフロントフォークで気をつけたいこと
- 中古のフォークは、まず中身を確認する。私が入手した MD30 のフォークは、中身がレーサーの XR250R(ME08)用でした。シリンダーの長さや部品が違うので、MD30 のマニュアルの油量・油面がそのまま使えない可能性があります
- スプリングは車種・年式で違う。XR250 と BAJA でも、スプリングA・B の長さの組み合わせが違いました。サービスマニュアルも、基本版と追補版で数値が違います
- BAJA に ME08 のスプリングを入れるのは、私はおすすめしません(車重が違うため。あくまで私の感想です)
- アクスルシャフトのネジ径も年式で違う(14mm と 12mm)。中古のフォークを付けるときは要確認です
- 分解・組み立てには特殊工具(27mm 六角のダンパーホルダー)が必要です
作業の流れと記事の一覧
実際に作業した順番に並べました。上から読むと、オーバーホール全体の流れが分かります。
| 順番 | 作業 | 記事 |
|---|---|---|
| 1 | 車体からフォークを外す | XR 250 BAJAのフロントフォークを外す |
| 2 | フォークを分解する | XR250 BAJAのフロントフォーク分解手順|必要な工具とセンターボルトの外し方 |
| 3 | インナーチューブを再メッキに出す | フロントフォーク再メッキの費用と納期は?東洋硬化での仕上がりを徹底レビュー |
| 4 | スプリングを点検し、WPC処理に出す | フロントフォークスプリングにWPC処理加工(準備編) FフォークスプリングがWPC処理から返ってきた |
| 5 | フォークオイルの粘度を合わせる | フォークオイルの粘度を混ぜて調整|A.S.H.の#11と#30でホンダ純正に合わせる フォークオイル粘度表|メーカー別の番手と40℃動粘度を一覧で比較 |
| 6 | 組み立て(シール・シリンダー) | XR 250 BAJA フロントフォーク組み立て(その1) XR 250 BAJA フロントフォーク組み立て(その2) |
| 7 | オイルを入れてエア抜き | XR 250 BAJA フロントフォーク組み立て(その3) |
| 8 | 油面調整・スプリングを入れて完成 | XR250 BAJAのフロントフォーク組み立て(その4) |
1. フォークを外す・分解する
フロントタイヤを外してもバイクが倒れないよう、フレームスタンドとリフトスタンドを使い、ベルトで車体を吊って作業しました。外す前にフォークの突き出し量を測っておくと、組み付けのときに元に戻せます。
分解でいちばん大変なのは、ボトムのセンターボルトを緩める作業です。そのまま回すと中のシリンダーが一緒に回ってしまうので、上から特殊工具でシリンダーを押さえ、下から 14mm の六角ソケットでセンターボルトを緩めます。

- 特殊工具:先端が 27mm の六角で、中が空洞のもの。私は MotionPro のダンパーツール(YM08-0223)を使いました。UNIT のフォークカートリッジホルダー(D7008)も使えます
- そのほかの工具:22mm ソケット、17mm スパナ、14mm 六角ソケット、細いマイナスドライバー、インパクトレンチ、ウエス
- トップキャップは、フォークが車体に付いている状態で少し緩めておくと楽です
詳しい手順は「XR 250 BAJAのフロントフォークを外す」と「XR250 BAJAのフロントフォーク分解手順|必要な工具とセンターボルトの外し方」をご覧ください。

2. 中古フォークの中身がレーサー用だった話
私の BAJA には、前のオーナーが ME08(XR250R)のフォークを付けていました。分解して MD30 の部品と比べると、次の違いがありました。
- ボトムに「COMPRESSION ADJUSTABLE」と書かれた圧側の調整機構がある
- シリンダーが ME08 はアルミ製で、MD30(スチール製)より約 5mm 長い
- ピストンロッドの先端に、MD30 には無い部品が付いている(伸び側の減衰の機構だと推測しています)
- スプリングが ME08 は 1本、MD30 は 2本(A と B)に分かれている
中古のフォークや中古車を買ったときは、純正のままかどうかを一度確認しておくと安心です。詳しくは3部作「第1部」「第2部」「第3部」をご覧ください。
3. スプリングの年式による違い
手元にあった3種類のスプリングの長さ(自由長)を実際に測った結果です。
| 車種(型式) | スプリングA(短) | スプリングB(長) | 合計 |
|---|---|---|---|
| XR BAJA(MD30) | 45.0mm | 391.0mm | 436.0mm |
| XR250(MD30) | 75.0mm | 366.5mm | 441.5mm |
| XR250R(ME08) | なし | なし(1本) | 445.5mm |
サービスマニュアルの基本版と BAJA の追補版(T型)では、スプリングの標準値が違いました。ご自分の車両の型式のページで確認することが大切です。年式ごとの違いは「【実測比較】XR250・BAJA・XR250Rのフロントフォークスプリングに潜む「年式の罠」とは?」と「XRシリーズのフロントフォークスプリングの考察」にまとめています。
また、BAJA に ME08 のスプリングを入れていたときの感想は「【実録】XR250/BajaにME08スプリングを推奨しない理由|フロントフォーク検証」に書きました。最終的に私は BAJA 用のスプリングに戻しています。
4. インナーチューブの再メッキ(費用と納期)
XR のインナーチューブは上部のくびれ部分がサビやすく、私のものも点サビと傷がありました。純正の新品は手に入りにくいので、福岡県の東洋硬化さんに再メッキをお願いしました。
| 項目 | 費用(2022年11月時点) |
|---|---|
| インナーチューブ再メッキ | 26,000円 × 2本 |
| くびれ部分の再生 | 5,000円 × 2か所 |
| 合計 | 62,000円(返送料込み・往路の送料は自己負担) |
料金表は公開されていないので、費用は問い合わせが必要です。あくまで参考にしてください。

再メッキの後は、こまめな清掃でサビを防ぐのが結果的に安く済むと思います。拭く方向など、日頃の手入れは「フロントフォークのインナーチューブの手入れ|拭く方向と点サビの見つけ方」で紹介しています。
5. スプリングの点検と WPC 処理
保管していたスプリングを測ると、短いスプリングA が 44.31mm・44.40mm で、使用限度(45.1mm)を下回っていました。純正品は廃盤で、ワンオフで作るのは費用が高いため、WPC 処理(JAMS さん)をお願いしました。WPC 処理には、破断やへたりを防ぐ効果があるとのことです。
返ってきたスプリングは、装着前にパーツクリーナーで洗浄するよう注意書きがありました。実際に洗うと、ウエスに汚れが付きました。
6. フォークオイルの粘度を合わせる
BAJA の指定オイル(HONDA ULTRA CO)は 40℃動粘度が 16.2 です。使いたかった A.S.H. の #20 が手に入らなかったので、#11(11.6)と #30(28)を 7.2:2.8 で混ぜて、ほぼ同じ粘度にしました。1本 461cc なので、#11 が 332cc、#30 が 129cc です。
フォークオイルは同じ「#10」でもメーカーによって硬さが違います。メーカー別の粘度は「フォークオイル粘度表|メーカー別の番手と40℃動粘度を一覧で比較」に一覧表があります。
7. 組み立て・エア抜き・油面調整
- インナーチューブの上端はビニールテープで養生し、シールのリップを切らないようにする
- シールのリップにはラバーグリスを塗る
- フォークシールは、全周が同じ深さまで入ったことを確認する(シールプッシャーの、チューブに触れる面の砂は拭き取る)
- センターボルトはネジロック剤を塗り、特殊工具でシリンダーを押さえて締める
- オイルは少しずつ入れ、ピストンロッドを動かしてエアを抜く
- 油面は、私の車両(XR BAJA(Y))のサービスマニュアルの値 107mm に合わせた

スプリングA と B の間の純正ワッシャー(1.56mm)は、厚さ 4.00mm のスラストベアリングに替えました。その分、プリロードが約 2.5mm 増えます。スラストベアリングのサイズは「XR250 BAJAのフロントフォークに入れたスラストベアリング」も参考にしてください。
詳しい手順は「組み立て(その1)」「その2」「その3」「その4」をご覧ください。
年式の違いでもう一つ:アクスルシャフト
オーバーホールの間に中古のフォークを付けようとしたところ、アクスルシャフトが入りませんでした。年式によってネジ径が 14mm と 12mm に分かれているためです。シャフトの長さも約 2.5mm 違いました。詳しくは「HONDA XR フロントアクスルシャフトの年式による違い」をご覧ください。
まとめ
XR250・BAJA は生産終了から時間がたち、純正部品が手に入らないものも増えています。そのぶん、中古部品を使うときは年式・型式の違いに気をつける必要があると感じました。
フロントフォークの整備を考えている方の参考になればうれしいです。