ホンダ X-ADV(RH21 / XADV)のエンジンオイルおよびフィルター交換時における規定オイル量は3.4リットルです。X-ADVはデュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT)を搭載しているため、通常のエンジンオイルフィルター(カートリッジ式)に加え、車体右側に配置されたDCT専用オイルフィルター(ペーパー式)の同時交換が必要となります。
初回1,000km走行時は、エンジンやトランスミッション内部の初期馴染みによって細かな金属粉(スラッジ)が最も多く発生するタイミングです。本記事では、アンダーガードとアンダーカウルを取り外した状態から、エンジンオイルの排出、2種類のフィルター交換、締め付けトルク管理、オイル・添加剤の計量注入、およびレベルゲージによる油量確認までの全実作業手順を詳しく解説します。
| 車両 | ホンダ X-ADV(RH21) |
| かかった時間 | 約1時間(アンダーガードと右カウルは先に外しておく) |
| 費用 | オイル 約12,000円、フィルター類 約3,200円 |
| オイルの量 | フィルターも替えるときは 3.4L |
| 部品 | オイルフィルター 15410-MFJ-D02、DCTフィルター 15412-MGS-D21、ドレンワッシャー 94109-12000、DCTフィルターカバーのOリング 91302-PA9-003 |
| 工具 | KTC オイルフィルターレンチ AVSA-064(64mm)、トルクレンチ、メスシリンダー、ジョウゴ |
| 注意 | オイルを抜く前に、オイルフィラーキャップが緩むか確かめる |
【部品・工具一覧】X-ADV(RH21)のオイル・フィルター交換に必要なアイテム
今回の1,000km初回点検作業で使用したホンダ純正パーツ、油脂類、ケミカル、および工具類の一覧です。

| 項目 | 品名・仕様 | 品番 / 規格 | 備考 |
|---|---|---|---|
| エンジンオイル | ホンダ純正 ウルトラ G3 PREMIUM SPORTS | 10W-30(100%化学合成油) | フィルター同時交換時:3.4L |
| オイル添加剤 | D1ケミカル SOD-1 Plus | エステル系オイルメンテナンス剤 | 総油量3.4Lに対し7%(238ml)添加 |
| オイルフィルター | ホンダ純正 カートリッジ式フィルター | 15410-MFJ-D02 | メインエンジン用 |
| DCTフィルター | ホンダ純正 DCT専用エレメント | 15412-MGS-D21 | ペーパー式(OUT-SIDE刻印あり) |
| ドレンワッシャー | ホンダ純正 シーリングワッシャー | 94109-12000 | 12mm(毎回新品交換) |
| Oリング | ホンダ純正 DCTフィルターカバー用 | 91302-PA9-003 | カバー溝部(毎回新品交換) |
| 専用工具 | KTC オイルフィルターレンチ | AVSA-064 | 64mmカップ型 |
| 測定・注入工具 | トルクレンチ、メスシリンダー、ジョウゴ | — | 計量および規定トルク管理用 |
【手順1】古いオイルの排出とドレンボルトの処理・トルク管理
作業の最初に、必ず右ステップボード奥にあるオイルフィラーキャップ(注入口)を緩められるか確認します。オイルを排出した後に「キャップが開かない」というトラブルを防ぐための必須手順です。また、あらかじめキャップを緩めておくことで、オイルの排出がスムーズになります。

フィラーキャップが緩むことを確認したら、車体下部のドレンボルトを緩めて古いオイルを排出します。


ドレンボルトを外すと、勢いよくオイルが排出されます。1,000km走行時点のオイルには、初期馴染みによる細かな金属粉が含まれており、相応の濁りが見られます。
オイルが抜け切るのを待つ間に、ドレンボルトの清掃とドレンワッシャー(シーリングワッシャー)の交換を行います。アルミ製のドレンワッシャーは、締め付け時に潰れることで密閉性を確保する構造のため、オイル交換ごとに必ず新品へ交換してください。再利用はオイルにじみ・漏れの原因となります。


クランクケース側の接合面およびネジ部に残った異物やオイルをウエス等できれいに拭き取ります。下処理完了後、トルクレンチを使用してドレンボルトを締め付けます。アルミ製のクランクケースは過大トルクによるネジ山破損(ナメ)を起こしやすいため、感覚に頼らずトルクレンチで正確に管理してください。

※ドレンボルトは、サービスマニュアルの規定トルクで締め付けます。
【手順2】メインオイルフィルター(カートリッジ式)の取り外しと取り付け
次に、エンジン底面にあるカートリッジ式のメインオイルフィルターを交換します。


フィルターの取り外しには、サイズが適合するKTC製オイルフィルターレンチ「AVSA-064」(呼び径64mm)を使用します。フィルターを緩めると内部の残留オイルが周囲に垂れてくるため、廃油トレイを直下に配置した状態で慎重に取り外します。

フィルターを取り外した後のエンジン側マウント面は、新しいパッキンが密着する重要な接合面です。砂埃や古い油分が噛み込まないよう、ウエスできれいに清掃します。


新品のオイルフィルターを取り付ける際は、ゴムパッキン(Oリング)表面に新しいエンジンオイルを薄く塗布します。これにより、締め付け時のゴムの捻れや噛み込みによる破損・オイル漏れを防止します。

参考として、エンジン側マウントセンターボルトのネジ外径をデジタルノギスで確認したところ実測15.62mmでした。

フィルターの締め付けは、フィルター側面の印刷指示(24〜29N・m)に基づき、東日製トルクレンチを用いて中央値付近の26N・mで均等に締め付けました。
【手順3】右側面DCT専用オイルフィルターの交換と注意点
続いて、X-ADV特有のDCT専用オイルフィルターを交換します。右アンダーカウルを取り外したことで、クランクケース右側面のDCTフィルターカバーへ直接アクセスできます。


固定ボルト2本を緩めてカバーを取り外します。カバー内部からもオイルが少量漏れ出てくるため、下部にウエスを当てて受け止めます。


カバー裏側の溝に収まっているゴム製Oリング(純正品番:91302-PA9-003)は熱劣化によるオイル漏れを防ぐため、必ず新品に交換します。
1,000km走行後のDCTフィルターの状態と重要性
ケース奥から取り外した古いペーパーフィルターの状態を確認します。

新品時は薄い黄色(クリーム色)のペーパーフィルターですが、1,000kmの慣らし走行で茶黒く変色し、ギヤやクラッチの初期摺動によって発生した細かな金属粉・スラッジを捕集していることが確認できます。油圧制御バルブの詰まりや変速不良を未然に防ぐため、初回点検時のDCTフィルター交換は必須作業です。
DCTフィルター組み付け時の2大注意点(スプリング紛失防止と向きの確認)
新品のDCTフィルターを取り付ける際、特に注意すべき点が2点あります。

- 内部スプリング(バネ)の脱落・紛失防止:
ハウジングの奥にはフィルターを保持する小さな金属製スプリングが入っています。古いフィルターを抜き取る際にスプリングがオイルで吸着されて一緒に抜け落ちたり、脱落して紛失したりしやすいため、必ず奥にセットされているか確認してください。 - フィルターの挿入向き(OUT-SIDE刻印):
純正フィルターのエンドプレート(金属面)には「OUT-SIDE」と刻印されています。逆向きに挿入すると油圧ラインを塞ぎ、重大な油圧トラブルや変速不能を引き起こします。刻印が手前(外側カバー側)を向いていることを目視で確認して挿入してください。
新品Oリングを装着したカバーを取り付け、固定ボルトを均等に締め付けます。
【手順4】オイル・添加剤(SOD-1 Plus)の計量注入と油量確認
ドレンボルトおよび両フィルターの装着が完了したら、新しいオイルを注入します。

オイル量とSOD-1 Plus配合量の計算(7%添加)
X-ADV(DCT仕様車)のフィルター同時交換時における規定オイル量は3.4リットルです。今回は金属保護およびスラッジ生成抑制のため、D1ケミカルの「SOD-1 Plus」を総油量に対して7%配合しました。
- 規定総油量(フィルター同時交換時): 3,400ml(3.4L)
- SOD-1 Plus添加量(7%分): 238ml ($3,400 \times 0.07$)
- ホンダ ウルトラ G3(ベースオイル): 3,162ml ($3,400 - 238$)


メスシリンダーで正確に計量したSOD-1 Plusをあらかじめオイル缶に入れ、缶を振って十分に撹拌してから注ぎ込みます。注入後、フィラーキャップを仮締めし、エンジンを始動して数分間アイドリングさせます。各接続部(ドレンボルト、メインフィルター、DCTカバー)からオイルの漏れ・にじみがないことを目視確認し、エンジンを停止します。
オイルレベルゲージによる油量の確認手順
エンジン停止後、オイルがオイルパンに落ち着くまで数分間待ち、車体を垂直に直立させた状態で油量を確認します。


油量確認の際は、引き抜いたゲージを一度ウエスできれいに拭き取り、「ネジ込まずに差し込んで」測定します。先端の格子状ハッチングマーク(アッパーレベルとロアレベルの間)にオイル面がしっかりと収まっていることを確認します。


油量確認後、フィラーキャップを確実に締め込み、取り外していた右側アンダーカウルおよびアンダーガードを元通り組み戻せば、作業完了です。
今回の作業で使用したパーツ・油脂類の製品情報
1. ホンダ純正 ウルトラ G3 PREMIUM SPORTS(10W-30)
低燃費性と油膜保持性能を両立したホンダ純正の100%化学合成油です。DCTの油圧作動とクラッチの締結特性に適した純正指定オイルです。
2. D1ケミカル SOD-1 Plus(エステル系オイルメンテナンス剤)
エステルを主成分とし、金属摺動面の油膜強化や内部洗浄を目的としたオイル添加剤です。DCTの油圧経路内のスラッジ付着抑制を目的に配合しています。
3. ホンダ純正 オイルフィルター & DCTフィルターセット
エンジン用のカートリッジ(15410-MFJ-D02)と、DCT用のエレメント(15412-MGS-D21)です。私はどちらもホンダ純正を使いました。
まとめ:X-ADVのオイル交換で押さえるべき重要ポイント
ホンダ X-ADV(RH21)の初回1,000kmオイル・フィルター交換の実作業ポイントのまとめです。
- 規定オイル量: フィルター同時交換時は3.4L(添加剤使用時は配合比率を正確に逆算して計量)
- ドレンワッシャーとOリング: 密閉性を確保するため必ず毎回新品へ交換
- トルク管理: アルミクランクケースのネジ山破損を防ぐためトルクレンチを使用(メインフィルターは24〜29N・m指定)
- DCTフィルターの注意点: ハウジング奥のスプリング脱落・紛失防止と、「OUT-SIDE」刻印を手前に向けた向きの確認
- 油量確認の方式: エンジン停止後に車体を垂直に直立させ、レベルゲージは「ネジ込まずに差し込んで」測定
DCT搭載車は油圧制御の作動安定性が走行フィーリングに直結するため、定期的なオイル交換とフィルター管理が極めて重要です。作業時は適切な工具と規定トルクを守り、確実なメンテナンスを行ってください。
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