みなさん、こんにちは。
前回の記事では、オイル交換の事前準備として、車体下部のアルミ製アンダーガードと右側のアンダーカウルを取り外す工程を詳しく解説しました。 無事に作業スペースが確保できましたので、今回はプロのクオリティで実践する「初回1,000kmオイル交換・実作業編(完結編)」をお届けします。
新車時の1,000km走行後は、エンジン内部のギヤやピストンが初期馴染みを起こすため、細かな金属粉(スラッジ)が最も多くオイル内に浮遊するタイミングです。 特にX-ADVはホンダ独自の自動変速機構である「DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)」を搭載しているため、通常のエンジンオイルフィルターに加えて、DCT専用のペーパーフィルターも同時に交換しなければなりません。
今回は、最高峰の100%化学合成油であるホンダ純正「PREMIUM SPORTS」に、プロショップ御用達の高性能オイル添加剤「SOD-1 Plus」を贅沢に配合するプレミアムなメンテナンスを実践しました。
愛車の心臓部を最高のコンディションに保ちたい方は、ぜひ参考にしてください!
【パーツ・工具確認】今回のプレミアムオイル交換で使用するアイテム一覧
まずは、今回ガレージに用意した交換パーツ、オイル、ケミカル、および特殊工具の一覧です。

(※X-ADVの初回メンテナンスのために用意した、純正オイル、フィルター2種、添加剤、計量工具のコンプリートセット)
- エンジンオイル: ホンダ純正 PREMIUM SPORTS(10W-30 / 100%化学合成油)
- 添加剤: D1ケミカル SOD-1 Plus(エステル系高性能オイル添加剤)
- 交換パーツ: ホンダ純正エンジンオイルフィルター(15410-MFJ-D02)
- 交換パーツ: ホンダ純正DCTオイルフィルター(15412-MGS-D21)
- 消耗品: 純正ドレンワッシャー(94109-12000)、DCTカバー用Oリング(91302-PA9-003)
- 専用工具: KTC製オイルフィルターレンチ(AVSA-064 / サイズ64mm)、トルクレンチ、デジタルノギス、500mlメスシリンダー、ジョウゴ、オイル受けトレイ
新車のデリケートな時期だからこそ、社外品ではなく信頼のホンダ純正パーツをチョイスしています。
【ステップ1】古いエンジンオイルの排出とドレンボルトの処理
最初の工程として、エンジン内部の古いオイルを完全に排出していきます。 作業をスムーズにするため、事前に右ステップボード奥にあるオイルフィラーキャップ(注ぎ口)の位置を確認して緩めておきます。
車でもそうですが、まずはオイル注入口のキャップを緩めることができるかどうかを最初に確認することが大切です。オイルを抜いた後に、「フィラーキャップが開かない」となると、どうにもならなくなるからです。

(※右ステップの下部に配置されている黒いオイルフィラーキャップ。あらかじめ緩めておくとオイルの抜けが良くなります)
キャップを確認し、緩めたら、車体下部のドレンボルトへとアプローチします。

(※車体を下側から見ると確認できる、エンジン底面のドレンボルト)

(※工具を使ってドレンボルトを抜き取り、古いエンジンオイルを一気に排出している様子)
ドレンボルトを緩めると、写真のように勢いよくオイルが排出されます。1,000km走行直後のオイルは、新車時のスラッジを含んでいるため特有の濁りが見られます。
オイルが抜け切るのを待つ間に、ドレンボルトの清掃とワッシャーの交換を行います。

(※古いドレンワッシャーを取り外し、新品のアルミ製ドレンワッシャーをボルトに装着する様子)

(※オイルが抜け終わった後、クランクケース側のドレン穴周辺をキムワイプできれいに清掃している様子)
ドレンワッシャーは一度締め付けると潰れることで密閉性を確保する仕組みのため、必ず毎回新品に交換してください。使い回すと確実にオイルにじみの原因になります。クランクケース側の接合面もウエス等で完全にクリーニングします。

(※トルクレンチを使用し、ドレンボルトをホンダ指定の規定トルクで正確に締め付けている様子)
下処理が終わったら、トルクレンチを使い、メーカー規定トルクでドレンボルトを締め付けます。クランクケースはアルミ製で非常にデリケートなため、ネジ穴破損(ネジ山なめ)を防ぐためにトルクレンチの使用は必須です。
【ステップ2】カートリッジ式エンジンオイルフィルターの交換とノギス計測
続いて、エンジン底面にあるカートリッジ式のメインオイルフィルターを交換します。

(※エンジン底面の黒いオイルフィルターカートリッジへ、KTC製の専用レンチ(サイズ64)をセットする様子)

(※ラチェットハンドルを繋ぎ、古いオイルフィルターを反時計回りに緩めて取り外す様子)
フィルターの取り外しには、サイズが完全に適合するKTC製オイルフィルターレンチ「AVSA-064」を使用します。緩めると内部に残ったオイルが垂れてくるため、下にトレイを敷いたまま慎重に抜き取ります。

(※古いフィルターが外れた後、マウント面の古い油分や細かな砂埃をウエスできれいに拭き取っている様子)
フィルターを取り外した後のマウント面は、新しいパッキンが密着する重要な部分です。ゴミが噛み込まないよう、パーツクリーナーを吹き付けたウエスで完全に清掃します。
ここで、新しく取り付けるホンダ純正オイルフィルターの準備に入ります。

(※新品のホンダ純正オイルフィルター。側面にはパッキンへのオイル塗布や締付トルク24〜29N・mの指定が日本語と英語で印刷されています)

(※新品フィルターの黒いOリング(ゴムパッキン)部分に、指先を使って新しいオイルを薄く塗布している様子)
写真の通り、取り付ける前に新品のゴムパッキン表面へ新しいエンジンオイルを薄く塗っておくことがポイントです。これにより、締め付け時にゴムが捻れて破断するのを防ぎ、気密性を高めることができます。
【専門知識】ノギスによるマウントボルトの計測とトルクレンチによる完全固定

(※デジタルノギスを使用して、エンジン側のオイルフィルターマウントセンターボルトのネジ外径を測定している様子。数値は15.62mmを示しています)
今回のDIY検証として、マウント中央のセンターボルトの外径をデジタルノギスで実測してみました。結果は「15.62mm」となっておりました。
サービスマニュアルによるとこの突き出し量標準値は「16.5mmプラスマイナス0.5mm」でした。標準値から僅かにズレていました。

(※トルクレンチを使用し、新品のオイルフィルターを規定トルク値(約26N・m)へと正確に締め付けている様子)
最後に、フィルター側面に記載されている指示通り、東日のトルクレンチ使用して、指定範囲内(24〜29N・m)の中間値である26N・m付近で正確にロックさせます。
【ステップ3】右側面内部にあるDCT専用オイルフィルターの交換と「古いフィルターの汚れ」チェック
いよいよ、X-ADVならではの「DCTオイルフィルター」の交換に入ります。右アンダーカウルを外したことで、クランクケース側面のカバーへのアクセスが用意になりました。

(※ラチェットレンチを使用して、DCTオイルフィルターカバーを固定している2本のボルトを緩めている様子)

(※カバーを浮かせて取り外す際、内部から溢れ出てくる古いオイルを白いウエスで優しく受け止めている様子)
2本のボルトを均等に緩めてカバーを外します。内部からも古いオイルが垂れてくるため、ウエスを添えて作業を行います。

(※取り外した黒いDCTオイルフィルターカバーの裏面。溝部分に防水用の円形Oリングがはめ込まれています)

(※カバーが外れた後の、右側面のDCTオイルフィルターケース内部の様子)
外したカバーの裏側にはゴム製のOリングが装着されています。このOリングも熱で劣化するため、オイル漏れを防ぐために必ず新品へ交換します。
カバーの奥から、古いペーパーフィルターを抜き取ります。ここで、取り外した古いフィルターの状態を確認してみましょう。
衝撃の事実:新車1000km走行後のDCTフィルターはこんなに汚れている!

(※取り外した古いペーパー製DCTオイルフィルターのアップ。全体が茶黒く変色しています)
写真をご覧ください。新品時は綺麗な黄色(クリーム色)をしていたペーパーフィルターですが、わずか1000kmの走行で、ギヤの初期馴染みによる細かな金属粉(スラッジ)や油分の汚れを吸着し、真っ黒に変色しています。 DCTの精密な油圧バルブを保護するため、このフィルターがいかに重要な役割を果たしているかが一目で分かります。やはり1,000kmでの初回交換は絶対に必須です。

(※新品の黄色いペーパー製DCTオイルフィルターの向き(OUT-SIDEの刻印面)を確認し、内部の金属製スプリング(バネ)と組み合わせる様子)
ここで最も重要な注意点があります。 DCTフィルターケースには、フィルターを正しい位置に保持するための「小さな金属製スプリング(バネ)」が内蔵されています。古いフィルターを抜くときにこのバネが一緒に張り付いて脱落しやすいため、絶対に紛失しないように注意してください。
また、新品の純正ペーパーフィルターの金属面には「OUT-SIDE」とはっきりと刻印されています。裏表の向きを逆に挿入すると、DCTの油圧ラインが詰まり、ミッションの変速不良や重大な故障を引き起こします。刻印が手前(カバー側)を向いていることを指先でトリプルチェックして挿入し、新品のOリングを組んだカバーを元通り締め付けます。
【ステップ4】化学合成油「PREMIUM SPORTS」+高性能添加剤「SOD-1 Plus」の計量・注入と油量確認
前後のドレン、および2つのフィルターの締め付けがすべて完了したら、いよいよ新しいオイルの注入プロセスです。

(※右側の注ぎ口に白いジョウゴを差し込み、周囲へのオイル垂れを防ぐためにステンレス製のトレイをセットした状態)
X-ADV(DCT仕様車)のフィルター同時交換時の規定オイル量は「3.4リットル」です。 今回はここに、エンジン内部の洗浄・保護効果を高める高性能オイル添加剤「SOD-1 Plus」を、規定の配合割合(総オイル量に対して7%:DCTの場合)に正確に計算して配合します。
- 総注入量: 3.4リットル
- SOD-1 Plus(7%分): 238ml
- ウルトラG3(エンジンオイル): 3,162ml(約3.16リットル)

(※差し込んだジョウゴを介して、ホンダ純正の最高峰オイル『PREMIUM SPORTS』をゆっくりと注ぎ込んでいる様子)
大型のメスシリンダーを使用し、まずSOD-1 Plusを238ml正確に計量して注入します。その後、ホンダ最高峰のウルトラG3を3,162ml計量してゆっくりと注ぎ込んでいきます。

※SOD-1は、あらかじめホンダのオイル缶に入れて、缶を振ってオイルと良く撹拌するようにしておきます。
注入が終わったら、一度フィラーキャップを仮締めし、エンジンを始動して数分間アイドリングさせます。各フィルターカバーやドレンボルト周辺からオイル漏れ・にじみが一切ないことを目視で確認し、エンジンを停止します。
レベルゲージ(ディップスティック)による正確な油量チェック
エンジン停止後、オイルがオイルパンに落ちるまで数分間待ち、車体を水平にまっすぐ立てた状態で油量の最終確認を行います。

(※注ぎ口からレベルゲージ(オイルディップスティック)を引き抜き、一度きれいな白いウエスで拭き取ろうとしている様子)

(※レベルゲージの先端の拡大。格子状のハッチングマーク(網目部分)の範囲内に、新しく注入した透明感のあるオイルがしっかりと付着している様子)

(※油量確認が完了した後、フィラーキャップ(レベルゲージ)を手で時計回りにしっかりと締め込んでいる様子)
写真のようにゲージを一度抜き取って拭き、再度ネジ込まずに差し込んで油量を測定します。 拡大写真の通り、格子状の網目模様の上限(アッパーライン)と下限(ロアライン)の間にオイルがしっかりと収まっていることが確認できました。確認後は、フィラーキャップを確実に締め込みます。

(※オイル交換作業がすべて完了し、右側のアンダーカウルを元通り車体へと組み戻している様子)
最後に、前回の記事で取り外した右側のアンダーカウルおよび底面のアルミ製アンダーガードを元の位置へ慎重に組み戻せば、すべてのプレミアムメンテナンスが完璧に完了です!
今回のプレミアムオイル交換で使用したホンダ純正パーツ&厳選ケミカル
今回の1,000km初回メンテナンスにおいて、実際に使用した間違いないホンダ純正消耗品と、プロ仕様の整備工具をご紹介します。
1. ホンダ最高峰の100%化学合成油「HONDA PREMIUM SPORTS 10W-30 1L」
サーキット走行からアドベンチャーの過酷な環境まで対応する、ホンダ純正の最高峰オイルです。圧倒的なシフトフィーリングの軽さと、DCTクラッチのシッカリとした繋がりを長期にわたって維持してくれます。
2. プロショップが絶賛する金属保護・洗浄添加剤「D1ケミカル SOD-1 Plus 1L」
エステルベースの次世代添加剤です。新車時の微細な金属摩耗を防ぎ、DCTの油圧バルブ内にスラッジが堆積するのを完全にブロックします。愛車に長くトラブルフリーで乗りたい方のための必須ケミカルです。
3. X-ADVの必須交換パーツ「ホンダ純正 オイルフィルター & DCTフィルター セット」
エンジンのメインカートリッジ(15410-MFJ-D02)と、DCT専用ペーパーフィルター(15412-MGS-D21)の純正セットです。新車の初回交換には安心の純正品一択です。
まとめ:丁寧なフィルター同時交換と正確な計量が、DCTの優れた変速を維持する秘訣
ホンダ X-ADVの納車1,000km初回プレミアムオイル交換の実作業工程レビューをお届けしました。
- エンジンオイルフィルターとDCTフィルターの同時交換で初期金属粉を完全にシャットアウト
- 新品パッキンへのオイル塗布と、トルクレンチによる規定トルク管理を徹底
- DCTフィルターの向き(OUT-SIDE刻印)と奥のスプリングの入れ忘れに細心の注意を払う
実際に取り外したDCTペーパーフィルターの黒さからも分かる通り、新車1,000km時点でのスラッジ発生量は非常にダイナミックです。 このタイミングで「PREMIUM SPORTS」+「SOD-1 Plus」による高クオリティな交換と正確な油量調整を実践したことにより、交換後のX-ADVは新車時特有の引っかかりが消え去り、DCTの変速が劇的にスムーズで滑らかなインテリジェントフィーリングへと生まれ変わってくれるはずです!
正しい手順と工具さえ揃えれば、愛車への愛着がさらに深まる最高の時間になります。皆様もぜひ今回の手順を参考にして、安心・確実なオイル交換にチャレンジしてみてくださいね!
それでは、最高のバイクライフを!