ツーリングの準備をしていざ出発。期待してセルを押した瞬間…
「キュル……キュ……シーン」
冬の朝、弱々しい音のあとに静かになる。エンジンがかからないのは、何度経験しても嫌なものです。「先週は乗れたのに」「まさかバッテリー交換?」と焦ってしまいますよね。
バッテリーは低温で性能が落ちるので、冬はバッテリー上がりが起きやすい季節です。ただ、すぐに新品を買う必要があるとは限りません。対処法を知っていれば、その場でエンジンをかけられることもあります。
この記事では、自分でバイクを整備している私が、次のことをまとめます。
- 今すぐエンジンをかける緊急対処法
- バッテリーを上げないための3つの習慣
- 維持充電器とテスターの使い方
冬でもバイクをすぐ走れる状態にしておくための参考にしてください。
先に結論
- まずはキルスイッチとギア・サイドスタンドを確認する
- 出先ではジャンプスターターやブースターケーブルでエンジンをかける
- 冬にあまり乗らないなら、維持充電器をつなぐか、マイナス端子を外しておく
- 私はCTEKの充電器を15年以上使っています
まずは確認!本当にバッテリー上がりが原因?
焦ってロードサービスを呼ぶ前に、まずは現状を冷静に観察しましょう。バッテリー以外の単純な操作ミスや、別の故障が原因のこともあります。
バッテリー上がりの代表的な症状(セルの音、ライトの明るさ)
キーをONにした際、インジケーターランプの点灯が普段より暗かったり、ホーンの音が弱々しい場合はバッテリー上がりを疑います。セルボタンを押した時に「ジジジ」というリレー音しか鳴らない、あるいはセルの回転がとても遅くてエンジンがかからない状態は、電力が不足している典型的なサインです。完全に放電していると、キーを回しても全く無反応になることもあります。
うっかりミスかも?キルスイッチとギアの確認
セルが全く回らない場合、ハンドル右側にある赤いキルスイッチが「OFF」になっていないかを確認してください。無意識に触れて切ってしまっていることがあります。
ギアが入ったままでサイドスタンドが出ていると安全装置が働いてエンジンはかかりません。一度ギアをニュートラルに戻し、クラッチをしっかりと握った状態で再度セルボタンを押してみるのが基本のトラブルシューティングです。
私は、転倒した時にギアが入ったままでエンジンを再始動しようとしてセルが回らず焦ったことがあります。
【緊急対応】上がってしまったバッテリーでエンジンをかける方法
出先や急いでいる朝に遭遇した場合、悠長に充電している時間はありません。外部から電気を供給して、強制的にエンジンを始動させる方法を紹介します。
【推奨】ジャンプスターターを使う(モバイルバッテリー型)
手軽なのは、モバイルバッテリー型のジャンプスターターです。バッテリーのプラスとマイナスの端子にクランプをつなぎ、電源を入れてセルを回します。使い方は製品の説明書に従ってください。スマホの充電器としても使えるため、ツーリング時の備えとしてシート下に常備しておくと安心です。ロードサービスを待たずに、一人で対処できるのがよいところです。
※私は使っていませんが、参考までに載せておきます。
ブースターケーブルで車や他のバイクから救援してもらう
救援車(車や友人のバイク)がいる場合、ブースターケーブルでバッテリー同士を繋いで電気を分けてもらいます。この時は以下の手順でつなぎます。
- 故障車のプラス
- 救援車のプラス
- 救援車のマイナス
- 故障車のマイナスもしくはエンジンの金属部分(アース)
ショートさせるとヒューズが飛んだりECUが壊れたりするおそれがあるので、慎重に作業します。救援してもらう側がバイクか車かで、注意が変わります。車から救援してもらうときは、車のエンジンはかけずにつなぎます。細かい手順や注意は、車とバイクの取扱説明書に従ってください。
※私は使っていませんが、参考までに載せておきます。
押しがけは最終手段(スクーターやFI車は注意)
バッテリーが弱っているだけなら、下り坂や人力で勢いをつけてエンジンをかける押しがけが有効な場合があります。キーをONにし、ギアを2速か3速に入れ、クラッチを切ってバイクを押します。勢いがついたらクラッチを一気に繋ぐと同時にアクセルを軽く開けます。ただし、転倒しやすく体力も使うので、おすすめはしません。また、完全に放電している場合や、インジェクション車(FI車)では、押しがけでもかからないことがあります。
【予防策】冬にバッテリーを上げないための3つの習慣
バッテリーは上げてしまうと性能が落ち、寿命を縮めると言われています。冬の間もコンディションを維持し、いつでも乗れる状態を保つための管理方法です。
定期的に乗る(エンジンを掛けるだけでは不十分な理由)
バッテリーは走行中に充電されるため、定期的にバイクを走らせることが最も基本的なメンテナンスです。ただし、アイドリングだけでは発電量が少なく、充電の効果は薄いと言われています。エンジンをかけるなら、ある程度の時間しっかり走るほうが、使った分の電気を取り戻しやすくなります。
【おすすめ】バイク用維持充電器(トリクル充電器)を繋ぎっぱなしにする
あまり乗れない冬に便利なのが、家庭用コンセントに繋ぐ維持充電器(トリクル充電器)の活用です。これはバッテリーの状態を見ながら、減った分を小さな電流で補ってくれる充電器です。デイトナやオプティメートなどの専用品なら、付属のケーブルを車体に付けておくことで、帰宅後にカプラーを差し込むだけで済みます。
※リチウムバッテリーには使えない充電器もあるので、対応を確認してください。
※私は使っていませんが、参考までに載せておきます。
私はCTEKのものを15年以上使っていますが、故障もなく使えていますのでおすすめです。

長期間乗らない場合はマイナス端子を外す
しばらく乗る予定がない場合は、バッテリーのマイナス端子を外しておくことで放電を防げます。バイクはキーがOFFでも、時計やイモビライザーなどでわずかな電気(暗電流)を使い続けているので、つないだまま長く置くと上がりやすくなります。端子を外す際は必ずマイナス側から行い、外したケーブルが端子に接触しないようテープで絶縁しておきましょう。できれば車体から外して、室内で保管すると安心です。
復活しない場合は?バッテリーの寿命判断と交換時期
充電してもすぐに上がってしまう場合や、セルが回らない場合は寿命の可能性があります。テスターで電圧を測ると、判断の手がかりになります。
電圧計(テスター)でのチェック方法
バッテリーの端子の間の電圧をテスターで測ります。正常な電圧の目安は、バッテリーの種類で違うので、バッテリーメーカーの説明書や資料で確認してください。充電しても電圧が上がらない、エンジンをかけた瞬間に電圧が大きく下がる、という場合は劣化を疑います。安いテスターでも電圧は測れるので、一つ持っておくとトラブルの切り分けに役立ちます。
私は、HIOKIのカードハイテスタ 3244-60を使っています。少し高いですが収納時もコンパクトで、レンジもオートで設定してくれます。また、500Vまで測定できるので家電にも使えます。


古いバッテリーは早めの交換も考える
バッテリーの寿命は、種類や使い方で変わります。目安はバッテリーメーカーの資料で確認してください。何年も使っているバッテリーは急にダメになることもあります。冬に何度も上がるようになったら、無理に使い続けずに交換を考えたほうが、出先で困らずに済みます。
まとめ:冬のバッテリーは準備しておけば慌てずに済む
冬のバッテリー上がりは誰にでも起こりえますが、準備をしておけば慌てずに済みます。
万が一のためにジャンプスターターを常備し、日頃から維持充電器を繋いでコンディションを保つ。そして寿命が来たら、無理に粘らず新品バッテリーへ交換する。この3つをしておくと、寒い朝でも落ち着いて対処できます。
出先で動けなくなることを考えると、維持充電器やテスターは用意しておいて損のない道具だと私は思います。
バッテリーの外し方と充電、冬の前の準備、バッテリーの選び方については、次の記事で紹介しています。
-
-
バイクのバッテリーを外す順番はマイナスから|外し方と充電手順(G650GS実例)
バイクのバッテリーを外す順番は、必ず「マイナス(−)端子 → プラス(+)端子」です。取り付ける際は逆順の「プラス(+)端子 → マイナス(−)端子」となります。この順番を守らないと、工具が車体フレー ...
-
-
XR250 BAJAのバッテリーの外し方|冬に保管する前の手順と使う工具
XR250 BAJA(MD30)のバッテリーは、サイドカバーのボルト3本と押さえのボルト2本を外すだけ。約5分で外せました。使う工具、端子をマイナスから外す理由、冬の間の保管(室内でCTEKの充電器)を写真で紹介します。
-
-
G650GSのバッテリーの外し方|センターカウルの外し方とブリーザーホースの注意
BMW G650GSのバッテリーは、センターカウルの下。トルクスのネジ10本とオイルフィラーキャップを外して、約10分で外せました。端子の養生、開放式バッテリーのブリーザーホースなど、注意する所を写真で紹介します。
-
-
バイク用バッテリー徹底比較!鉛 vs リチウムイオン、あなたの走りに最適なのはどっち?
みなさん、こんにちは。 お断り:私はリチウムイオンバッテリーをまだ使ったことがありません。リチウムイオンバッテリーについての部分は、メーカー・販売店が公開している情報をもとにまとめたもので、使ってみた ...
セルモーターの分解とメンテナンスについては、こちらの記事で紹介しています。
-
-
XR250 BAJA セルモーターメンテナンス(分解編)
みなさん、こんにちは。 今日は、XR BAJAのセルモーターのメンテナンスのお話です。と言っても自分の車体についているセルモーターではなく、予備で購入した中古品のものです。 格安品でしたので、なかなか ...
バッテリーが上がったときの充電・脱着と、端子ボルトを締めやすくする裏技については、こちらの記事で紹介しています。
-
-
XR BAJAのバッテリー上がり!充電・脱着と端子ボルト締め付け裏技
「久しぶりに愛車に乗ろうとしたら、セルが回らずカチカチと鳴るだけ……」 「バイクのバッテリーを取り付ける時、端子の四角ナットが下に落ちてボルトが届かない!」 バイク乗りなら誰もが一度は経験する、「バッ ...