みなさん,こんにちはBooです.
さて,いよいよタペット調整作業です.
大まかな流れは以下です.
- ピストンを圧縮上死点位置にする
- バルブホールキャップを外し,バルブクリアランスを測定する
- バルブクリアランスが基準値外であれば,バルブクリアランスを調整する
- バルブホールキャップや燃料タンク,シートなどを元に戻す
まずは,クランクシャフトを回転させてピストンの上死点を出す必要があります.
そのために,「クランクシャフトホールキャップ」と「タイミングホールキャップ」を外します.
タイミングホールキャップは,対辺寸法6mmの,クランクシャフトホールキャップは,対辺寸法10mmの六角穴になってます.
ソケットを入れた状態で撮影しています.
それぞれのキャップを外したところです.
タイミングキャップホールには合わせマークがついています.
ホールの中にある二面幅17mmのボルトを回転させることでクランクシャフトを回転させることができます.
ここで,クランクシャフトを反時計方向に回転させ,フライホイールの「T」マークを合わせマークに合わせて圧縮上死点の位置にします.
ちなみに上死点とは,ピストンが上下運動するときのピストンが一番上にある状態のことを言います.
4サイクルエンジンはクランク2回転で1サイクルですので,1サイクルのうちに2回上死点があります.そのうちの1つは排気上死点,もうひとつが圧縮上死点です.
「T」マークを合わせたときが圧縮上死点であるかどうかを確認するには,「T」マークを合わせマークに合わせた後,クランクを左右に動かしたとき,ロッカーアームが動かない位置が圧縮上死点となります.
さて,ここまで準備が済んだら次はエンジンの頭部にあるバルブホールキャップを外します.
バルブホールキャップを外すには,二面幅24mmのレンチが必要です.
エンジンハンガーが邪魔になって外しにくいキャップもあります.
バルブホールキャップを外していきます.
万が一,ゴミなどがホールから混入することを心配されるなら,一度にすべてのキャップを外さずないで,1つずつキャップを外してクリアランス調整してから別のキャップを外す,ということを繰り返せば良いです.
キャップを外したら,タペットクリアランス調整をするためのアジャストスクリュとロックナットが見えます.
分かりやすく?するために図にしてみました.
図中の赤線で示したクリアランス(すき間)を規定値に調整するのがクリアランス調整です.
バルブクリアランスの規定値
IN(吸気側):0.10±0.02mm (0.08~0.12mm)
EX(排気側):0.12±0.02mm (0.10~0.14mm)
ちなみに上の写真は排気側の左側(バイクの進行方向を見たとき)です.
シックネスゲージを入れてすき間を計測します.
シックネスゲージが入るということは,クリアランスは差し込んだシックネスゲージよりも大きいということです.
かといって,シックネスゲージが入らないとクリアランスがわかりません.
クリアランス=入ったシックネスゲージ,となるのは,シックネスゲージを入れたときの感触が「羊羹を切った感触」だそうです.
羊羹を切ったことがなければわからないのですが,ゲージを入れたときに,キツくもなく,緩くもなく,スッと入る感触です.
クリアランスの調整には,アジャストスクリュを回すためにマイナスドライバが,ロックナットを回すためにIN側は10mm,EX側は12mmのレンチが,それぞれ必要となります.
アジャストスクリュですき間を調整して,シックネスゲージでクリアランスを計測する.計測値が基準値外であれば再度アジャストスクリュで調整する.
といった流れになります.
クリアランスの調整が終わったら,バルブホールキャップを閉めます.
バルブホールキャップ4つを閉め終わったら,タイミングホールキャップおよびクランクシャフトホールキャップを閉めます.
あとは,「準備編」で外した燃料タンク,シートを取り付けて終了です.