G650GS メンテナンス

ベアリングの考察(リアリンクやスイングアームのニードルベアリング)

みなさん,こんにちはBooです.

今日はバイクのスイングアームやリアリンクに使われることの多い,ニードルローラベアリングのお話しです.
ベアリングを交換するときに,「サイズさえ合えば多少形状が違ってもいいでしょ」という分けにはいかない,という内容です.
純正ベアリングを,互換品で交換しようとされている方のお役に立てば幸いです.

もともとバイクに付いていたベアリングを純正では無く,ベアリングメーカーのものと置き換えて使用するつもりでした.

付いていたベアリングはこれです.

ニードルがすき間無く詰められています.
また,シールを外して見るとHN1816という刻印が見られました.

それに対して,交換しようとしたベアリングがこれです.

ニードルに保持器があり,ニードルがすき間無く詰められている状態ではありません.
ちなみに型番はHK1816でした.

ベアリングを新品に交換したくて,「サイズが合っていれば交換できるでしょ」と高価な純正品ではなくと安易に同サイズのベアリングを購入しました.
しかし,購入したベアリングはサイズが同じでも,中身?が異なっていましたので,「果たしてこれを使っても良いものか??」というのが今回の記事を書くきっかけとなったわけです.

調べて見るとHN1816(もともとバイクに付いていたベアリング)は「総ころ形針状ころ軸受」というものでした.
対してHK1816(交換用に購入したベアリング)は「保持器付き針状ころ軸受」というものです.
総ころ形針状ころ軸受などの用語については,NTN(以下)のホームページを参照しました.

https://www.ntn.co.jp/japan/products/catalog/search.php?categoryId=140&searchWords=#page-1

NTNのホームページより引用

さて,この2つのベアリングの何が違うかをまとめたものが以下の表です.

型番備考内径(mm)外径(mm)幅(mm)基本定格荷重(Cr)基本定格荷重(C0r)
HK1816 (交換用に購入したもの)保持器付き針状ころ軸受18241611.6kN16.8kN
HN1816 (純正で取り付けられていたもの)総ころ形針状ころ軸受18241617kN32.5kN
HK1816とHN1816の比較表

これをみると,内径などのサイズは同じですが,荷重の大きさが違います.
おそらくですが,ニードルを密に並べてある「HN」の方が荷重に対して強いのだと理解しました.

それぞれのベアリングのデータは以下を参照にしました.

https://medias.schaeffler.be/en/product/rotary/rolling-and-plain-bearings/roller-bearings/needle-roller-bearings/drawn-cup-needle-roller-bearings-with-open-ends/hn1816/p/382222

HN1816のデータ参照元

https://koyo.jtekt.co.jp/products/detail/?pno=HK1816

HK1816のデータ参照元

スイングアームやリアリンクは,リアの荷重を引き受ける部分です.
万が一にもベアリングが破損すれば転倒や事故になる可能性もあります.
そういったことを考えると純正のベアリングから安易に用意したベアリングに交換するのはやめておいた方が良いと判断しました.
結局,ベアリングの新品交換は諦めて,純正のベアリングをグリスアップして再利用することにしました.

純正品と汎用品を交換する際の良い勉強になりました.

みなさんも純正部品を汎用品と交換するときは気をつけてくださいね.

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