みなさん、こんにちは。
「最近、愛車のXRのリアサスが動きが硬い気がする…」 「段差でギシギシと異音が聞こえるようになった」
そんな悩みを感じていませんか?
ホンダの名車、XR250/BAJA(MD30)。オフロードを元気に走るバイクだからこそ、最も汚れが溜まりやすく、かつ放置されがちなのが「リアリンク周り」です。
MD30は年式も古くなり、一度も開けていない車両はグリスが切れてサビが発生しているケースが少なくありません。
そのまま放置すると、最悪の場合はボルトが抜けなくなり、高額なパーツ交換が必要になることも…。
そこで今回は、XR BAJAのリアリンク分解・清掃・グリスアップの手順を徹底解説します。
- 必要な工具とおすすめのグリス
- 分解時の注意点とコツ
- サスペンションの「初期作動」を復活させるポイント
この記事を読み終える頃には、あなたのXRの足回りは見違えるほどしなやかになり、次のツーリングがもっと楽しくなるはずです。それでは、作業を開始しましょう!
なぜリアリンクのグリスアップが必要なのか?
オフロード車や長年放置された車両の宿命
オフロードを走るXR250/BAJAにとって、リンク周りは常に過酷な環境にさらされています。
- 泥・砂の侵入: シールが劣化すると内部に異物が入り込みます。
- 洗車によるグリス流出: 高圧洗浄機などでグリスが流れてしまうことも。
特にMD30は年式も古くなっているため、一度も開けていない車両はグリスが枯渇している可能性が非常に高いです。
放置すると発生するトラブル(異音・サビ・固着)
メンテナンスを怠ると、最悪の場合「ボルトとカラーの固着」が発生します。
- 異音の発生: サスが動くたびに「キィキィ」と鳴き始めます。
- 作動不良: サスペンションがスムーズに動かず、乗り心地が悪化。 ボルトが抜けないほど固着してしまうと、リンクアーム自体の破壊や高額なパーツ交換が必要になるため、予防整備が不可欠です。
メンテナンスに必要な道具とケミカル
リアサス周りの分解に使用する工具一覧
作業をスムーズに進めるために、以下の工具を揃えておきましょう。
- コンビネーションレンチ(14mm、17mm等): リンク周りの主要ボルト用。
- トルクレンチ: 走行中の脱落を防ぐため、組み付け時の必須アイテム。
- ソケット(14mm、17mm):トルクレンチを使用しての締付時に必要。
- オフロードスタンド(ジャッキ): 車体を浮かせるために必要です。
- パーツクリーナー: 古いグリスを完全に除去するために大量消費します。
リンクに最適なグリスの選び方
リンク部は大きな荷重がかかり、水にさらされる場所です。
- ウレアグリス: 耐水性・耐熱性に優れており、リンク周りに最もおすすめ。
- 極圧リチウムグリス: 荷重に強く、純正指定されることも多い定番品。 私は、長期間の潤滑性能を重視して万能なウレアグリスを選択しています。
ここでは、ロッドエンド部にはWAKOSのマルチグリスを、ボルトにはオメガのグリスを使いました。使い分けの理由は、水がかかる場所かそうでないかです。
【実践】XR BAJA(MD30)のリアリンク分解手順
安全なジャッキアップと車体の保持
まずは車体を安定させます。リンクを外すとスイングアームが自重で落ちるため、フレームで支えるタイプのスタンドが理想です。
- ポイント: サイドスタンド側へ倒れないよう、作業スペースを十分に確保してください。
リンクアーム・ボルトの取り外し手順
ボルトを抜く順番を工夫すると作業が楽になります。
- タイヤを外す(スイングアームの重量を軽くする)
- 各ボルトを少しずつ緩める(完全に抜かない)。
- スイングアームを支えながらボルトを外し、ボルトが外れたらスイングアームは何か(ここでは10Lポリタンク)で支える。
- 下側のボルトから順に抜いていく。 MD30はリンクの数が多い(プロリンク方式)ので、ボルトの向きや位置を写真に撮っておくと安心です。
それでは、写真付きで実際の作業を紹介いたします。

まずは、スタンドでリアタイヤを浮かせます。
しかし、この状態で作業すると、何かの拍子に車体が倒れる可能性がありますので、吊り下げ式のスタンドも併用すると安心度が高まります。

写真中央の金色の部分がリアリンクアームです。
この車両は、シート高を下げるためにアントライオンの車高調整キットのリンクアームを使用しています。

まずはリアタイヤを外します。

リアタイヤを外したら、スイングアーム(リンク)とリンクアームを固定しているボルトを外します(写真中央のボルト)

リアリンクとリンクアームが外れました。この状態になると、スイングアームは自重で垂れ下がってきますので、スイングアームが下がらないように「何か」で支えます。

ここでは、スイングアームを10Lのポリタンクで支えています。他のバイクで同様の作業をする時は、このポリタンクを使用しています。

次は、車体とリアリンクアームを固定しているボルトを外します。
写真の中央やや左に見えるボルトですね。

リアリンクアームが外れました!
汚いです…
清掃とベアリングの状態チェック
古いグリスの洗浄とパーツの確認
取り外したボルトやカラー、ベアリングを徹底的に洗浄します。ノーマルリンクの場合はニードルベアリングですが、このアントライオンのリアリンクアームは、ピロボールです。
アントライオンのメンテナンスは、別記事を参考にしてください。
- 洗浄のコツ: 古いグリスをパーツクリーナーで完全に洗い流し、金属表面を露出させます。 ここで汚れを残すと、新しいグリスの性能が十分に発揮されません。
ニードルベアリングやカラーの摩耗診断
洗浄後はパーツのコンディションをチェックします。
- 段付き摩耗: カラーに筋が入っていないか?
- サビの有無: ベアリングのニードルが錆びていないか? 手で触れて凹凸を感じるようであれば、清掃だけでなくパーツ交換を検討するタイミングです。

さて、リアリンクアームを見ていきましょう。もうね、どれだけメンテナンスをサボっていたの…という状態でした。
上の写真の薄いナットはロックナットですが、金色のパーツとの間に隙間があります。緩んでしまってますね。

写真中央やや左に黒い穴が見えますが、ここにはグリスニップルが刺さっていました。ニップルは走行中に抜け落ちてしまったようです。

そして、ピロボール(THKのピロボールロッドエンド)は固着してしまって外れませんでした。
バイスで固定してなんとか外すことができました。

外すのに難儀したボルト部は錆びて(電蝕?)いました。
グリスアップと組み付けのポイント
グリスの塗布量とベアリングへの馴染ませ方
ベアリングに新しいグリスを押し込んでいきます。
- 塗り方: 指先でニードルの隙間を埋めるように「圧入」するのがコツ。
- 注意点: 塗りすぎてもシールの隙間からはみ出るだけなので、適量を均一に。
アントライオンのリアリンクアームはピロボールで、小さなグリスニップルがついています。今回は専用のグリスニップルノズルでグリスを注入しました。

さて、ピロボール部分はグリスニップルを利用してグリスアップできたので、現状での問題点解決のための細工をします。
まずは、ピロボールロッドエンドのネジ部が固着しないようにグリスをたっぷり塗りました。

そして、ピロボールへの水・泥混入対策、そしてグリスニップル脱落対策でロッドエンドカバーを付けました。

しかし、カバーを付けたままだとカラーが入らないのでハサミでカットします。

カバーは、片側にしか穴が空いていないので、もう片側はかなり大胆にカットして穴を開けました。
規定トルクでの締め付け(MD30の参考値)
最後に、サービスマニュアルに基づいたトルクで締め付けます。
- 締めすぎ厳禁: リンクの動きを阻害し、ベアリングを痛めます。
- 緩み厳禁: 走行中に分解すると重大事故に繋がります。 必ずトルクレンチを使用し、正確な管理を行いましょう。

まずは清掃できる部分を清掃します。

リンクアームを車体側に取り付けます。

次は、リンクアームとリアリンク(スイングアーム)の連結部にボルトを挿入します。

フレーム側と同じく、こちらもトルクレンチで確実にナットを締めます。

リアリンクアームの取り付けが終了しました。
グリスアップ、かつ汚れ防止のゴムカバーも取り付けられたので満足です。

最初に取り外したタイヤを取り付けます。

タイヤも規定トルクで締め付けて作業完了です!!
記事まとめ:XR BAJAの足回りを守るために
お疲れ様でした!今回のXR250 BAJA(MD30)のリアリンクメンテナンスをまとめると、重要なポイントは以下の3点です。
1. 「手遅れ」になる前の予防整備がすべて
リンク周りは一度固着してしまうと、素人の手には負えない重整備になってしまいます。特にオフロード走行を楽しむ方は、「異音がしてから」ではなく「定期的なグリスアップ」を習慣にしましょう。
2. ケミカル選びと「観察眼」が寿命を分ける
今回は耐水性に優れたウレアグリスを使用しました。また、洗浄後のパーツをよく観察し、金属表面のわずかな摩耗やサビを見逃さないことが、大きなトラブルを防ぐ秘訣です。
3. 走りの質が劇的に変わる
組み上げ後にバイクに跨った瞬間、リヤサスが「スッ」としなやかに動く感覚は、何度味わっても最高です。路面追従性が上がることで、オフロードでの安心感はもちろん、街乗りでの乗り心地も驚くほど改善されます。