G650GS メンテナンス

フロントブレーキパッドの点検

G650GSを例に,フロントブレーキのブレーキパッドの点検を紹介します.
ブレーキパッドの点検とは何をするのか?ですが,ここでは以下の作業の紹介をします.

  • ブレーキパッドピンの状態点検
  • ブレーキパッドの変形や異物の付着点検
  • ブレーキパッドの厚さ確認

それでは作業順に紹介していきます.

まずは,ブレーキパッドピンを外します.

フロントがディスクブレーキのバイクでは,パッドピンを外すことでブレーキパッドを外すことができます.
パッドピンの固定方法は,様々です.ねじ式だったり圧入?だったり,差し込んでピンで固定したりする,などです.

G650GSは圧入(と表現していいか分かりませんが)式です.

ブレーキキャリパ付近の写真です.

まずはブレーキパッドを楽に外すためにブレーキキャリパを下の写真のように少し押しておきます.

ブレーキキャリパをホイールの方へ押しておきます.
こうすることで,キャリパーピストンが少し押し戻されてブレーキディスクとブレーキパッドの間に隙間ででき,ブレーキパッドを外しやすくなります.

圧入されているとはいえ,パッドピンが脱落すればブレーキパッドも脱落してブレーキが効かなくなりますので,パッドピン脱落防止のためベータピンが挿入されています.
このベータピンを抜きます.

ベータピンを外したらブレーキパッドピンを抜くために,ピンポンチを使って打撃します.
しかし,上の写真は失敗例です.
この状態でパッドピンを抜くと,パッドピンがホイールのスポークに当たるかもしれません.
ひょっとしたら当たらない設計になっているかもしれませんが,ホイールが傷つくのはイヤですので車両を動かしてホイールを回転させました.

この位置関係ならパッドピンを安心して抜くことができます.

パッドピンが抜けましたが,えらく錆びてます......

抜いたパッドピンを,リアブレーキパッドピンと比べてみます.
サイズは同じようですので,同じ部品を使っていると判断しました.

パッドピンを外す際のピンポンチでの打撃は,他の部品にダメージを与えたり,打撃ミスで他の場所を叩いてしまったりするリスクがありますので,フロントのパッドピンもリア同様に打撃の必要のないものに交換することにします.
その時の記事は下記をご覧下さい.

さて,パッドピンが外れましたのでブレーキパッドを外します.

ブレーキパッドは,ブレーキディスクを挟むように2枚ありますが,いずれも下方向に引き抜けば外れます.

外したブレーキパッドのブレーキディスクと接触する面です.

こちらはブレーキディスクに当たる面の裏側となります.
いずれも変形や損傷,異物の付着などは見られません.

ブレーキパッドの厚さの点検です.
左右に顕著な厚みの差は見られません.
パッドに刻まれている溝も十分残っていますので,真鍮ブラシで汚れを落としてこのまま使用することにします.

まずはホイール側のブレーキパッドを装着します.

ブレーキパッドは定位置にしても落下してしまうので,手を離してもブレーキパッドが落ちないようにパッドピンを挿入します.
錆びたパッドピンは使わず,保管してあった錆びてないリアブレーキのパッドを使うことにしました.

次に,もう一枚のパッドピンを装着します.

こちらも装着したらパッドピンを挿入してブレーキパッドが落下しないようにします.

ブレーキパッドを装着し,パッドピンを手で挿入できる限り挿入したら,外したときとは反対側からピンポンチで打撃していきます.

パッドピンの頭がこのぐらいの位置になったら挿入完了です.

最後に,パッドピンにベータピンを差し込んで作業終了です!

錆びていたパッドピンはサビを落として保管しておくことにしました.

真鍮ブラシでサビを落とします.

サビを落としたパッドピンです.
サビによる陥没跡,ベータピンがはめ込まれていた場所の凹みが見えますね.

今後,使うかどうかわかりませんが,防錆のために KURE 5-56 を塗布して保管しておきます.

※ブレーキは重要保安部品ですので,この記事を参考にされる方はすべて自己責任でお願いいたします.

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