みなさん、こんにちはBooです。
今回は、バイクのフロントホイールハブにベアリングを圧入したお話しです。
愛車にずっと乗ってるけど、ホイールのベアリングなんて気にしたことがない、取り回しが重く感じるようになった、タイヤが回転すると異音がする、などという方はホイールベアリングが原因のことがあります。
下の図からも分かりますが、車体重量(自分の体重も)は、ホイールベアリングを介してアクスルシャフトに伝わり、そしてタイヤに伝わっています。
XRで言えば、前後2つずつの合計たった4つのベアリングで車両重量+自分の重量を支えているのです。

これを知ってしまうと、ホイールベアリングがいかに重要性かが分かります。
そこで今回は、ホイールベアリングの交換(圧入)のお話しです。
準備するもの
- ベアリングインストーラー
- ハンマー
- 新品ベアリング
- 新品のオイルシール
- ノギス(私のやり方の場合)

おおまかな手順
- 車体を浮かせ、タイヤが浮いた状態にする
- アクスルシャフトを外し、タイヤをホイールごと車体から外す
- 外したホイールのベアリングを抜き、新しいベアリングを圧入する
タイヤを外した車体は不安定になるので転倒防止対策が必要です
実際の作業
フロントホイールハブ等とベアリングは、先ほどの断面図のような構造になっています。
余談ですがリアホイールハブについてです。
チェーン側は力がかかるためダブルベアリングになっていたり、シャフトドライブや片持ちスイングアームの車両にはタイヤ側にベアリングがついていなかったりします。

用意したベアリングは上の写真のものです。
NTNの6202LLU。おそらく正立フォークのXR 250およびXR BAJAは同じサイズだと思います。

ベアリングは両側シールのものでしたが、少しでもフリクションを減らすために、車体に取り付けた時に内側になるシールは外してしまいます。

シールを外すとこんな感じです。グリスが塗布されています。

塗布されていたグリスが鋼球に触れていないように見えましたので、精密ドライバでグリスを中に押し込みました。
精密ドライバのような金属ではベアリングに傷がつくかもしれませんので、爪楊枝を使えば良かったと後から思いました。

ベアリングの準備ができましたので、ホイールハブに打ち込んでいきます。
ここで注意することは、スピードメーター側のベアリングを先に打ち込むということです。
それはなぜか?
HONDA サービスマニュアル XR250/XR BAJA/XR250・Motard より引用
上の画像はサービスマニュアルからの引用です。
ハブとベアリングをよく見てください。
スピードメーター側のベアリングは、ハブの中に打ち込めるだけ打ち込んでいますが、ブレーキディスク側(赤丸印)はわずかにすき間があります。
これは、ベアリングを打ち込む量はスピードメーター側を基準として、ブレーキディスク側で調整するということです。
そのためベアリングを打ち込む順番とすれば、先にスピードメーター側のベアリングを一番奥まで打ち込み、その後ブレーキディスク側でベアリングを打ち込む量を調整します。
ベアリングはスピードメーター側から打ち込みます
さて、では実際にベアリングを打ち込んでいきます。
ソケットで打ち込む方もおられますが、ソケットだと打ち込んでいる時に位置がずれてしまい、ベアリングやハブを痛める可能性があるので専用工具を使います。

撮影しながらですので「やらせ写真」ですが、このようにハンマーで打ち込んでいきます。
実際は手を添えてまっすぐに打ち込むようにします。

ベアリングを打ち込んだ状態です。
ベアリングが最後まで打ち込まれると打撃音が変わります。
(これ以上打っても入らないな、と感じる音と手応えになると思います)

次は、ブレーキディスク側の作業となります。
この時、ディスタンスカラーを入れ忘れないようにします。
入れ忘れると、またベアリングを外さねばらなくなります。
ディスタンスカラーを入れ忘れない

スピードメーター側と同じようにベアリングが斜めにならないように打ち込んでいきますが、力任せにベアリングが打ち込めなくなるまで入れてしまってはいけません。

ベアリングを打ち込む量を確認しながら少しずつ打ち込んでいきます。
上の写真で、精密ドライバが指しているすき間が、ベアリングとディスタンスカラーのすき間になります。
このすき間が適正でないと、ベアリングの外輪と内輪がズレてスムーズに回転しないことになります。
ベアリングの「外輪」、「内輪」とは。
https://koyo.jtekt.co.jp/support/faq/article/001691.php より引用
例えば、打ち込み量が少なすぎる場合は、アクスルシャフトを締め込んだときにベアリングの内輪が押されて下図のようになります。

逆に、ベアリングを打ち込みすぎると下図のようになります。

ベアリングの外輪、内輪のズレを図示してみました。
さて、これから紹介する方法では、外輪と内輪のズレは解決できませんが、2つのベアリングが平行になる方法です。

これは私のやり方ですが、ベアリングが斜めに打ち込まれていないかを確認するために、ノギスでベアリングの打ち込んだ深さを測ります。
測る場所はベアリングを時計に見立てて、12時、3時、6時、9時の4箇所です。この4箇所の深さが同じになるようにベアリングを打ち込みます。どこを計測したのかがわかるようにマスキングテープを目印に貼っておきます。
ただし、これはノギスで測る面が歪んでいないとか、ベアリングとハブの接触面とが垂直であることが前提となります。

例えば上の写真であれば、打ち込み量が「7.25mm」です。

もし、計測した場所のベアリング打ち込み量が他の箇所よりも少ないのであれば、先を丸めたピンポンチでベアリングを打ち込みます。
「ノギスで計測 → ピンポンチで打ち込む」
これを繰り返して、二つのベアリングが平行になり、かつディスタンスカラーとベアリングの距離(前述の「すき間」)が適正になるようにします。
では、「ディスタンスカラーとベアリングの距離が適正」とはどれぐらいなのか?
これは、アクスルシャフトを適正トルクで取り付けた時の距離だと考えています。

試しに、ベアリングとディスタンスカラーだけをとりつけて、フロントアクスルシャフトを規定トルクで締め付けてみました。
すると、ベアリングとディスタンスカラーでちょうど80mmでした。
これからも分かるように、先ほどから「すき間」と表現していますが実際は「すき間」はなくなります。
※ 図ではアクスルシャフトは向かって右側から締め付けていましたが、実際は左側から締め付けてますね。すみません、アクスルシャフトの向きについては間違った図を書いてしまいました。

確認の意味で、ベアリングとディスタンスカラーを計測しました。
ディスタンスカラーは、単体で58.50mmです。

ベアリングの1個の厚さは、10.95mmでした。
ベアリング2つ(10.95mm×2)とディスタンスカラー(58.50mm)を足した長さは80.40mmです。
この長さは、前述の「80.00mm」と近い数字です。
アクスルシャフトを規定トルクで締め付けることによって、ディスタンスカラーやベアリングが大きく縮むとは思えませんが、80.00mmという数字は一つの目安になると思います。
ただ、私はベアリングとディスタンスカラーを取り付けた状態の長さを測る器具を持っていないため、前述の様にベアリングの打ち込み深さをノギスで計測する方法を採用しています。
この方法だと、2つのベアリングが平行になるのですが、適正な打ち込み量は勘に頼ることになります。
もっと良い方法があるかもしれませんが、ベアリング圧入の方法の1つとして紹介させていただきました。

