みなさん,こんにちは.
今日はXRシリーズのアントライオンの車高調整キットのメンテナンス方法(その2)です.
前回までのお話は,ピロボールの入手方法を紹介いたしました.
今回は,ピロボールのグリスニップルにグリスを注入する方法の紹介です.

グリスニップルにグリスを注入するには,多くの場合グリスガンを使います.
私はグリスガンを使用しないで,上記のミニグリスガンを使用しました.
ノズルはひょっとしたら標準ノズル(写真の一番右のもの)が使用できるかも,と思って購入してみました.
ちなみにこのグリスガンはベアリングにグリスを注入するために購入したものです.
また,ニップルに合うようなノズルも探しました.

まずはミニグリスガンの先端部を外します.
二面幅12mmのソケットで外すことができます.

ミニグリスガンの先端を外したところです.右側が先端部,左側がミニグリスガンの本体です.本体の方にはスプリングが入っていました.

さて,ここであらためて標準ノズルとグリスニップルを見てみます.
見た目の形状では使用できそうな雰囲気です.

まずは標準ノズルでグリスを注入してみます.

ノズルを結構な力でニップルに押し付けながら注入すると.

上の写真のようにグリスを注入することができました.
ピロボールのボールの周囲に黒っぽいグリスがはみ出してきているので,内部では注入した赤いグリスが行き渡っているのだと思われます.

...しかし,かなりの圧をかけないとグリスが入っていかないです.
そして,ノズルを外した後は,残圧でかなりのグリスがノズル先端から出てきてグリスが無駄になってしまいます.
(はみ出たグリスはこの後容器に移し替えました)

さて,次は狭所用ストレートノズルを試してみます.
上の写真の通りこのままでは注入できません.
ですので,先端を切り落として,このグリスニップル用のノズルを取り付けることにしました.

バイスで固定して,手ノコでカットしていきます.

カットが終わりました.
この穴を拡大して,指でつまんでいる専用ノズルをつけようと思います.

カットしたときに表面が傷ついたので,ヤスリで整えておきます.
使用したヤスリはツボサンのものです.目詰まりもしにくいですし,対象物を削りやすいです.

専用ノズルのネジ部の直径は4.8mm.M5かな.

ネジのピッチは0.5です.

専用ノズルが入るように穴を拡大します.

はい,ここで私の失敗です.
ドリルの刃は,4.5mmのものを使用しましたが,後でタップを使うので,ドリルの刃は4mmで良いと思います.

穴を開けたので,とりあえずノズルをあてがってみます.

M5×P0.5のタップです.
手元になかったので,比較的安価なものを購入しました.

タップをたてていきます.

タップによってネジ山が作れましたので, 専用ノズルにシールテープを巻いてねじ込んでいきます.

少し斜めになっていますが,なんとかねじ込めました.

ミニグリスガンに装着します.

当たり前なのですが,このグリスニップル用の専用ノズルですので,収まりが良いです.
ノズルをニップルに押し当てるときに少し力が必要ですが,標準ノズルに比べたらかなり少ない力でニップルに密着します.

グリスの注入ができました.
こちらもボールの周囲からグリスが滲んできているのがわかります.

残圧も標準ノズルに比べたら少ないようで,はみ出たグリスは少なくて済みました.
以上が,ピロボールへのグリス注入です.
無事に注入できましたが,色々と手間がかかりました.
以下に標準ノズルと専用ノズルの違いについて簡単に表にまとめました.
| 標準ノズル | 狭所用ノズルを加工して専用ノズル使用 |
|---|---|
| 標準ノズル(432円) 合計 432円 | 狭所用ノズル(728円) 専用ノズル(1098円) 合計 1826円 |
| グリスを注入する時に,ニップルにノズルを力を入れて押し当てながら注入しないといけない. 注入後の残圧でかなりのグリスがはみ出てくる. | グリスを注入するときは,ニップルに少しの力でノズルを押し当てて注入すれば良い. 注入後の残圧で出るグリスは,標準ノズルよりは少ない. 専用ノズルを使用するには部品の加工が必要. ※専用グリスガンを使えば専用ノズルが無加工で付きますが,専用グリスガンは7~8千円します. |
上記以外にも,車体からピロボールを含む部品を外してグリスアップする方法もあると思います.
リアリンクのグリスアップは乗り心地に直接関係すると思いますので,この記事がどなたかの参考になれば幸いです.
