みなさん,こんにちは.
今日はバイクのスポークホールを組んでみたので紹介します.
バイクのスポークホイールは,錆びたり汚れたりしたとき,ホイールに組んだままだと掃除が非常にやりにくいですよね.
「いっそのこと分解して清掃てやりたい!」と思いますが,「元に戻せなかったらどうしよう...」と思って手が出せない方もおられると思います.
ここでは,分解したスポークホイールを組んでいく様子を紹介します.
ホイールの分解前に,ハブ,スポーク,リムがどのような位置関係になっているかを記録するために,多くの写真撮影をしておくことをお勧めします.
写真をもとに復元することもできますし,「どのような写真を撮れば復元するときに役に立つか」ということを考えながら撮影すると,ホイールの構造も頭に入ると思います.
準備するもの
- ホイール,スポーク,スポークのニップル,ハブ
- (組む前に清掃するなら)ウエス,洗浄剤等
- プラスもしくはマイナスドライバー(ニップルを締めるため)
- ニップルレンチ
- 耐水グリス
手順
ここでは,HONDAのXR BAJAのフロントホイールを例にして紹介していきます.また,スポークは純正ではなく,DACHIのステンレススポークを使用しています.
各部品を清掃
スポークを組んでしまうと清掃しにくい場所は,今のうちに綺麗にしておきます.

パウダーコートしてもらったハブですので,プレクサスで綺麗にしておきます.

リムもスポークを組んでしまうと清掃が面倒な場所ですので,今のうちにフキフキ.
写真は無いですが,スポークもプレクサスで清掃しておきました.
スポークが複数種類あるなら事前に分けておく
パーツリストでスポークを再チェックします.
スポークの部品番号がひとつしかないので1種類で間違いないですね.ちなみにXRのリアホイールのスポークは2種類ありますので,これを参考にリアスポークを組む方は,スポークの種類にご注意ください.

バイクを整備するときはパーツリストやサービスマニュアルがあると色々と確認できて便利です
ここで,ハブの構造や今後の作業に使う名称について説明するため,ハブの断面図を掲載しておきます.

ハブの断面図です.書いてみるとバイクを支えているのは,フロントとリアのベアリングなんだとあらためて認識しました.
ホイールベアリングが超重要に思えてきた.
今後,ハブのどこの穴にスポークを通すかを説明していきますので,下図を参考にしてください.

スポークをハブに通していく
ハブの,ブレーキディスク側(スピードメーターギア側でも構いません)で,内側(フロントフォークから遠い側)にスポークを入れる.
最初に入れる1本はどこから入れても構いません.2本目以降,どんどん入れていきますが,最後の1本は注意が必要です.

スルスルと入っていく1本目のスポーク.最初は楽なんですよ....
どんどんとスポークをハブに入れていき,ブレーキディスク側の内側にスポークを全部入れたところです.

9本のスポークが入っています.これをあと3回繰り返せば,ハブにスポークを入れる作業は終了です.
XRのフロントのスポークは全部で36本です.この内訳は下記です.
ブレーキディスク側の内側:9本
ブレーキディスク側の外側:9本
スピードメーターギア側の内側:9本
スピードメーターギア側の外側:9本
余談ですが....
純正のスポークなら問題ないと思いますが,今回は純正のスポークより太いDACHIのスポークを使ったので,ハブに干渉する箇所もありました.
また,このハブはパウダーコート+パウダークリアという厚い塗装をしてあることも干渉の原因かもしれません.

干渉してスポークが傷ついたり塗装が剥がれたりするのもイヤだったので,干渉部分に紙をあてて作業しました.
スポークの干渉は,純正より太いDACHIのスポークを使用したために発生した問題だと思います.純正のスポークではここまでひどく邪魔にならないと思います.
さて,最後の1本はお隣にあるスポークを避けて入れなければなりませんが,下の写真の角度だと最後のスポークは入りません.

ここで「えっ!?入らないじゃん...」と焦って,スポークを全部抜いて色々な入れ方を試してみましたが,結局最後のスポークが入らない..
そこで,最後のスポークの隣のスポークの角度を変えてやります.

スポークの角度を変えても,やはり最後のスポークを入れるときは,隣のスポークに力を入れてしならせて無理矢理入れました
ハブの片側かつ内側のスポークを入れ終わったら,ハブを裏返して,残った片側の内側のスポークを通していきます.
ブレーキディスク側とスピードメータギア側の内側にスポークを入れ終わったら,次は同じようにハブの外側のスポークを入れていきます.
スポークを全部入れたら,下記の様になると思います.

ヒトデ?ウニ?を想像してしまいました
ここにホイールリムを置きます.

形になってきてテンションが上がります
スポークとリムをニップルで仮組します
さて,ニップルを使ってホイールリムとスポークを繋げていきます
手間になりますが,一度仮組みをします.
ここで,リムのどの穴に,どのスポークを入れるの??となります.
リムに空いているニップルを通す穴は,よく見ると向きがあります.
下の写真では,写真の上を「上」,写真の右を「右」と表言しています.
よく見ると,ニップルを通す穴の向きが,下記の繰り返しであることがわかります.
※ → 上,右向き → 下,左向き → 上,左向き → 下,右向き → ※

例えば,上の写真の状態でハブのブレーキディスク側を上向きに置いたときは,ブレーキディスク側のスポークは,上の写真の「上向き」の穴に組むことになります.
右向き,左向きは,ハブを回転させることで変わるので,最初の1本は,上下を確認し,右向き,左向きのどちらかに入れてみましょう.
この時,ハブやスポークに無理な力がかかっているようだったり,スポークがハブに干渉したりしたら,右向き,左向きを変えてみましょう.
まずはスポークを4本ニップルに繋げてみましょう.
下の写真で,薄い黄色のマスキングテープが貼ってあるスポークは,どちらも上の写真で言う「下(スピードメーター側),左向き」の穴に入れてあります.
スポークは全部で36本あり,ハブ側の穴が4種類あるので,この4種の組み合わせが9セットあるということになります.
言い換えれば,下記の表と写真の組み合わせを9回繰り返せばスポークを組み作業は終了となります.
仮組みですので,ニップルはスポークに浅くねじ込むだけです.
リムの穴 | スポーク位置 |
---|---|
下,左向き | スピードメーターギア側,内側 |
上,左向き | ブレーキディスク側,内側 |
下,右向き | スピードメーターギア側,外側 |
上,右向き | ブレーキディスク側,外側 |

写真の撮影の仕方が悪く見にくいかも知れませんが,ご容赦ください.
単純作業ですが,組み方を間違えないように慎重に組んでいきましょう.
仮組みが終われば下記のような状態になると思います.

仮組みですが,組み上がりました!
この状態ではスポークがユルユルなため,ハブもガチャガチャと左右に動きます.

スポークのねじ部にグリスを付けてニップルを締め込んでいきます
仮組みが終わったので,今度はニップルを締め込んでいきます.
DACHIのスポークの注意書きには「取付の際はねじ部にグリスを塗布し...」とありますので,仮組みしたニップルを一度外して,スポークのねじ部にグリスを塗っていきます.

DACHIのステンレススポークに付属していた説明書です
塗布するグリスには指定がありませんでしたが,タイヤ付近に付けるということもあり手元にあった耐水性の高いものを使うことにしました.
使ったグリスは,Omega 57 です.
メーカーホームページでは,Omega57は「極圧・耐水用ベアリンググリース」とされていました.
多分,ステムベアリング用に買ったのだと思います.

OMEGA 57 極圧・耐水用ベアリンググリース
これをスポークのねじ部に塗布し,

スポークのねじ部にグリスを塗布しました.ピンボケですみません.
ニップルを外し,スポークにグリスを付け,ニップルをねじ込む,という作業を36回繰り返します.

グリスを塗布してねじ込んでいくと,余分なグリスがはみ出てきますので,グリスの付けすぎには注意しましょう
ちなみに,DACHIのスポークニップルを締め込むにはマイナスドライバーが必要です.(純正はプラス形状だったと思います)

ニップルを締めるのにマイナスドライバが必要なのが分かります
とりあえず,全てのニップルにおいてスポークのネジ山が一山か二山残るまでまでねじ込みました.

すべてのスポークをこの状態にしました.(ネジ山が1~2山残る程度)
これで,ハブがガチャガチャ動くことも無い状態になりました.
次はスポークを組んだホイールを車体に取り付けてリムの振れをなくす作業になります.また,車体に取り付ける前にハブにベアリングも取り付けなければなりません.
これらについては別途記事にします.
まとめ
- ホイールを分解する前に,復元できるように写真を撮っておく
- スポークをハブに組むときは「内側(フロントフォークから遠い側)」から組んでいく
- スポークどうしが干渉する場合は,スポークの向きを変えたりして無理矢理入れないようにする
- 全てのスポークをハブに通したら,リムには一度仮組みをする
- リムに仮組みするときは,リムにあるリップルの穴の奉公と,ハブの位置関係に注意する
- スポークのねじ部にはグリスを塗る
いかがでしたか.これでスポークの清掃のための分解や錆びたスポークの交換など,臆すること無く挑戦できるのではないでしょうか.

