前回の記事では,オートバイの走行性能において「バネ下重量の軽量化」がいかに重要か,そして逆に「バネ下重量が増加することのデメリット」について詳しく解説しました.足回りが重くなることは,サスペンションの追従性を悪化させ,乗り心地やハンドリングに影響を与える可能性があります.
しかし,今回ご紹介するカスタムは,あえてその「バネ下重量」をわずかに増加させてでも行う価値があるものです.それが,『フロントフェンダーエクステンダー』の取り付けです.
「せっかく軽量化の話をしたのに,なぜ重くするパーツを?」と思われるかもしれません.しかし,愛車を長く,綺麗に乗り続けるためには,走行性能のわずかな低下と引き換えにしても,得られるメリットの方が遥かに大きいのです.今回は,フロントフェンダーエクステンダーを取り付ける手順と,その絶大な保護効果について解説していきます.
フロントフェンダーエクステンダーを取り付けるメリットとデメリットの天秤
オートバイのフロントタイヤは,走行中に路面の砂利,泥,雨水を激しく巻き上げます.標準のフロントフェンダーだけでは,これらの飛び石や汚れを防ぎきれず,エンジンのエキゾーストパイプや,さらに深刻な場合,ラジエーターコアを直撃してしまうことがあります.
バネ下重量増を許容してでも得られる「保護効果」
前回の記事でお伝えした通り,フロントフェンダーはサスペンションの下側に位置するため,ここにパーツを追加することは「バネ下重量の増加」に直結します.理論上,これは運動性能にとってマイナス要因です.
しかし,ここで天秤にかけるべきは「ごく僅かな重量増による運動性能の変化」と「ラジエーターやエンジン回りの破損・汚れリスク」です.
フロントフェンダーエクステンダー自体はプラスチック製で非常に軽量なものが多く,重量増といっても体感できるレベルではありません.一方で,もし飛び石によってラジエーターコアが潰れてしまえば,冷却効率が下がるばかりか,最悪の場合は高額な修理費用が発生します.また,エキゾーストパイプに焼き付いた泥汚れは落とすのが非常に大変です.
つまり,このパーツは「走りを変える」ためではなく,「愛車のコンディションを維持し,トラブルを未然に防ぐ」ための守りのカスタムなのです.この安心感こそが,バネ下重量増というデメリットを補って余りある最大のメリットと言えるでしょう.
取り付けのポイント:確実な固定方法を選ぶ
フロントフェンダーエクステンダーの取り付けには,主に「強力両面テープ」を使用する方法と,「ビス(リベット)留め」を行う方法,あるいはその両方を併用する方法があります.
- 両面テープのみの場合 最も手軽で,フェンダーに穴を開ける必要がないため,心理的なハードルが低いのが特徴です.しかし,常に雨風や泥水,そして振動にさらされる過酷な環境であるため,経年劣化で脱落するリスクがあります.走行中に外れてタイヤに巻き込むと非常に危険ですので,使用するテープは耐候性・耐水性に優れた超強力なものを選ぶ必要があります.
- ビス・リベット留めの場合 フェンダーにドリルで穴を開ける加工が必要ですが,物理的に固定されるため脱落の心配がほぼありません.「愛車に穴を開ける」という行為に抵抗がない方,あるいは絶対に脱落させたくない方にはこちらの方法,もしくは「両面テープ+ビス留め」のハイブリッド方式を強くおすすめします.
次項からは,実際に私が実践した取り付け手順を,失敗しないためのコツを交えて写真付きで解説します.
取り外しなどの作業はこちらをご覧ください.

さて,フェンダーを車体から取り外して清掃したのが上の写真です.
エクステンダーは,フェンダーに両面テープとタッピングビスで取り付ける予定です.

まずは両面テープで取り付けるために,貼り付ける面を脱脂します.
シリコンオフとキムワイプを使用します.
これらは様々な作業で使用するので持っておいて損はないです.

まずはエクステンダーの脱脂です.
両面テープを取り付ける部分を脱脂します.

後々の作業になりますが,フロントフェンダーとエクステンダーの張り合わせ面だけではなく,すこし幅広く脱脂をしておきます.
たとえば,上の写真の指で示した段差の部分も脱脂しておきます.

エクステンダーだけではなく,フロントフェンダーも脱脂しておきます.

今回使用するのは,Scotchの「超強力プレミアムゴールド両面テープ スーパー多用途」です.

エクステンダーに両面テープを貼っていきます.
このとき,なるべく両面テープ同士の間隔があかないように貼ります.
間隔が開くと,そこからフロントタイヤの巻き上げた砂利が侵入していきます.
両面テープを貼るのはエクステンダーではなくフェンダーが良いです.

苦労しながらきちっと真ん中に貼り合わせます.
しかし,さすが超強力両面テープです.
少しでもくっつくとなかなか剥がれません.
素材の違いですが,特にフェンダー側に張り付くとなかなか剥がれません.
軽くくっついただけでも剥がれないので注意が必要です.

そしてお気づきでしょうか?
上の写真の左側では両面テープがはみ出しています.(そして左右でズレがあります)
両面テープは張り合わせたときの面積が小さい方(この場合はフロントフェンダー)に貼ってから作業するのが正解です.
そうでないと上の写真のようにはみ出してしまいます.
また,素材の違いからフェンダーよりもエクステンダーのほうが粘着力が弱いです.
ですので,フェンダーに両面テープを貼って,エクステンダーで位置合わせするほうがやり直しがしやすいです.

貼り直しができない中でもなんとか貼り合わせました.
しかし,フロントフェンダーとエクステンダーの曲面は同じでないため,どうしても隙間ができてしまいます.
上の写真でおわかりのように1~2mmほどの隙間ができてしまいました.
今回使用したものを紹介しておきます.
次回は,この隙間を何とかする方法を紹介します.


