バイクの「強すぎるエンジンブレーキ」や「低速・低回転でのギクシャクした振動」に悩んでいませんか。
クランクケース減圧バルブ(T-REV)を取り付けると、体が前にのめるような急なエンジンブレーキが和らぎ、ツーリングの疲れが軽くなりました。
筆者が所有していたBMW G650GS(単気筒650cc)に「T-REV(φ9 0.07mm)」を装着し、実走で体感した5つの変化と自作の速度ギアグラフ、購入前に知っておきたい注意点をレビューします。数値で測ったものではなく、すべて私の感想です。
| 項目 | 仕様・検証内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 対象車種 | BMW G650GS | 650cc単気筒エンジン搭載車 |
| 装着パーツ | TERAMOTO T-REV | ブローバイ径φ9/シム厚0.07mm |
| 購入価格 | 28,600円(税込) | 2021年7月に私が買ったときの値段。高価だが疲労軽減の効果は大きいと感じた |
| 総合評価 | ★★★★★(大満足) | エンブレ緩和・振動の角取り・ギクシャク解消 |
この記事の要点
- 減圧バルブ(T-REV)の装着で強烈なエンジンブレーキが優しくなり、前へのめり込みが解消
- 低速のギクシャク感が減り、街乗りでの半クラッチ操作の頻度が減少
- 1速の使える速度域が20km/hから25km/hへ広がり、ギアチェンジを適度にサボれるように
- ピストンの上死点・下死点での衝撃が和らぎ、単気筒なのに「1.5気筒」のように振動がマイルド化
- ブローバイの水分でオイルが乳化(エマルジョン)してバルブに付くので、定期的な点検清掃が必要
減圧バルブ(T-REV)は効果がある?G650GSで走った感想
減圧バルブ(T-REV)は高価なパーツですが、導入する価値は十分にあり、長距離ツーリングの疲れが軽くなりました。
650ccの単気筒は、多気筒車と比べて1気筒あたりの排気量が大きいので、アクセルを戻したときのエンジンブレーキや振動が強めです。
T-REVを取り付けると、角のあった挙動がマイルドになり、市街地でもワインディングでも扱いやすくなりました。
なぜ効果が出る?クランクケース減圧の仕組みと単気筒との相性
ピストン下降時にクランクケース内の空気を押し縮める「ポンピングロス(空気抵抗)」を、ワンウェイバルブで外へ逃がすことでエンジンを身軽にする仕組みです。
4ストロークエンジンでは、ピストンが上下するたびにクランクケース内の空気が激しく圧縮・膨張を繰り返しており、これが大きなポンピングロスとなって強いエンジンブレーキを生み出します。
T-REVのリードバルブ(シム板厚0.07mm)が、ブローバイガスを一方向(ケース外)にのみ排出することで、クランクケース内を適度な負圧(減圧)状態に保ちます。
単気筒エンジンは、ピストンの動きによるクランクケース内の容積の変化が1つの気筒に集中するので、この効果を感じやすいと考えられます(推測)。
G650GSで感じた5つの変化
T-REVを装着して実走した結果、各ギアの守備範囲拡大、低速ギクシャクの減少、振動の「1.5気筒化」など、はっきりとした走りの変化を感じました。
| 比較項目 | 装着前(ノーマル状態) | 装着後(T-REV装着時) |
|---|---|---|
| 1. ギアの守備範囲 | 1速は20km/hが限界で即シフト | 25km/hまで粘りギアチェンジ頻度減 |
| 2. 低速ギクシャク感 | 低速でガクガクし半クラ多用 | ギクシャクが減り低速走行が安定 |
| 3. 振動の質感 | ピストンが激しく上下動する衝撃 | 上下死点の反転衝撃が和らぎ滑らかに |
| 4. 気筒数の感覚 | 荒々しい単気筒特有の振動 | まるで「1.5気筒」のようなマイルド感 |
| 5. エンジンブレーキ | 体が前にのめる急激なエンブレ | 穏やかで扱いやすい優しいエンブレ |
特にギアの守備範囲の変化は顕著で、発進から1速で引っ張れる速度域が広がりました。自作した以下のイメージグラフのとおり、各ギアの使える幅が青色からオレンジ色へと広がっています。

これにより、交差点の左折や市街地走行で神経質にシフトチェンジを繰り返す必要がなくなり、適度にギアチェンジをサボれるため、運転が非常に楽になりました。
また、ピストンの上下運動が上死点・下死点で急激に反転する際の衝撃が和らぎ、単気筒・2気筒・3気筒を乗り継いできた筆者の感覚としては、単気筒なのに「1.5気筒」になったかのように振動の角が取れました。あくまでイメージですが、ピストンが上死点・下死点に近づくと少しスピードが落ちて、急に向きが変わる衝撃を抑えてくれた感じです。
エンジンブレーキも優しくなりました。以前は、低いギアでエンジンブレーキを使うと体が前に傾くほどだったので、低いギアで高回転を使うことは避けていました。
減圧バルブのデメリットと手入れ
減圧バルブの最大のデメリットは、パーツ価格の高さに加え、ブローバイガスの水分で乳化したオイル(エマルジョン)がバルブに付いて、働きが悪くなる点です。
冬場の走行や近距離のチョイ乗りを繰り返すと、エンジン内の結露水とオイルミストが混ざり合い、マヨネーズ状の白濁した乳化スラッジが発生しやすいと言われています。
このスラッジがT-REV内部のリードバルブ(シム板)に付くと、板がきちんと閉じなくなり(私のT-REVでも分解したときに板が浮いていました)、性能が落ちます。クランクケースの内圧が抜けにくくなると、オイル漏れの原因になるおそれもあります。
メーカー(TERAMOTO)は、1年または10,000kmごとの点検清掃と、2年または20,000kmごとのフルオーバーホールを推奨しています。私のT-REVは、オーバーホールから半年ほどでエマルジョンが付いていたので、冬場やチョイ乗りが多いときは早めに点検したほうが良さそうです。
私はこのT-REVを約3年使いました。長くメンテナンスしていなかったときは効果が薄れていて、フルオーバーホールしたら、振動やエンブレが取り付けたころの感じに戻りました。
-
-
T-REV(減圧バルブ)のメンテナンス(その1)
みなさん、こんにちは。今日はT-REV(減圧バルブ、レデューサー)のメンテナンスのお話です。 T-REVは、株式会社寺本自動車商会(TERAMOTO)さんの商品で、エンジンクランクケースの内圧を減圧す ...
減圧バルブ(T-REV)をおすすめする人・しない人
減圧バルブは、大排気量単気筒の強いエンブレに疲れている方にはおすすめですが、メンテナンスが苦手な方には向かないと思います。
| ライダーの志向・車種 | おすすめ度 | 判定の理由 |
|---|---|---|
| 単気筒(ビッグシングル) | ◎ おすすめ | ポンピングロスが大きく、エンブレ緩和と振動低減を感じやすい |
| 長距離ツーリングの疲労を減らしたい方 | ◎ おすすめ | シフトチェンジの回数と急な減速が減り、疲れにくくなった |
| 定期的な分解清掃が苦にならないDIY派 | ◎ おすすめ | 定期的にメンテナンスすれば効果を保てるため |
| 4気筒車や小排気量車(125cc以下) | △ 未確認 | 私は試していません。もともと効果を感じにくい可能性があります(推測) |
| 完全メンテナンスフリーを求める方 | × 非推奨 | 定期清掃を怠るとスラッジ固着によるトラブルリスクがあるため |
バイクの減圧バルブに関するよくある質問(FAQ)
Q1. 減圧バルブを装着した状態でバイクの車検には通りますか?
ブローバイガスを純正どおりエアクリーナーボックスに戻す配管にしておくことが前提です(ブローバイガスを大気に出さないこと)。私はこの配管のまま使っていました。
私のG650GSは、T-REVを付けたまま2024年6月に富山の陸運局(富山運輸支局)でユーザー車検を受け、そのまま通りました。検査でT-REVについて何か言われることも、特にありませんでした。
ただし、これは私の車両で1回通ったという体験です。検査での判断が車両の状態などで変わることもあるかもしれないので、心配な場合は事前に検査場に確認してください。
Q2. 取り付けの向きを間違えるとどうなりますか?
逆向きに付けると、クランクケースの内圧が抜けなくなり、オイル漏れなどの原因になるおそれがあります。本体に刻印された矢印(One Way)が、空気の流れる向き(クランクケース→エアクリーナーボックス)になっているか確かめて取り付けてください。
まとめ
テラモトのT-REVは、28,600円(税込、2021年7月に購入)という価格に見合う疲労軽減の効果を感じた、単気筒乗りにおすすめできるパーツです。
G650GSを手放す前に、ノーマルに戻すためT-REVを外したところ、エンジンの鼓動が荒々しくなり、低速のギクシャク感も増えたと感じました。
実際のホース配管や取り付け手順については、以下の記事で詳しく解説しています。
-
-
T-REV(減圧バルブ)の取り付け方|G650GSに純正ホースを切らずに付ける手順
みなさん、こんにちはBooです。 G650GSに減圧バルブを取り付けたお話しです。 単気筒のバイクは振動が強かったり、エンジンブレーキが強かったりするのが特徴です。発熱が少なかったり、エンジンを軽くで ...
T-REVの関連記事:メンテナンス(その1)、フルオーバーホール、T-REVを外す
また、私はG650GSで、燃調を補正する「ブースタープラグ」も併用していました。ブースタープラグのインプレッションは以下の記事をご覧ください。
-
-
ブースタープラグの効果とデメリット|G650GSで20km実走+1年後の本音
BMW G650GSの発進時や極低速で「ギクシャクして乗りづらい」「ノッキングやエンストが怖い」と悩んでいませんか。 結論から言うと、ブースタープラグを取り付けて20km実走しただけで、発進時や極低速 ...
単気筒と二気筒の違いと選び方については、こちらの記事で紹介しています。
-
-
単気筒と二気筒の違い|両方3台ずつ乗り継いだ私が感じた乗り味と選び方
みなさん、こんにちは。 単気筒と二気筒、どちらのバイクを選ぶか迷っていませんか? 私はこれまでに、単気筒を3台、二気筒を3台乗り継いできました。この記事では、カタログの数字ではなく、実際に乗って感じた ...