ヘルメットロックで切られやすいのは、布製のアゴ紐です。アゴ紐のDリングだけをヘルメットホルダーやワイヤーに掛けていると、アゴ紐を刃物で切られた時点で、ヘルメットは持ち去られてしまいます。
ツーリング先でのヘルメットの盗難防止は、ワイヤーロックをアゴ紐ではなくチンガード(顎の部分)に通し、ハンドルやグラブバーなど車体の外れない部分と繋ぐのが基本です。
この記事では、筆者が購入した切断されにくいワイヤーロック(RAINCORE・60cm)で実際にどう繋げるかを、写真で紹介します。そのうえで、ヘルメットを持ち歩く方法と、トップケースやシートバッグに隠す方法をまとめます。
ヘルメットの盗難対策は「繋ぐ・持ち歩く・隠す」の3つ
ツーリング先でできるヘルメットの盗難対策は、大きく次の3つです。状況に合わせて組み合わせます。
| 対策 | 使うもの | 良い点 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 繋ぐ | ワイヤーロック | 小さく軽いので常に持っておける。バイクを降りてすぐ使える | 絶対に切れないわけではない。車種によって必要な長さが違う |
| 持ち歩く | ヘルメットバッグ、ヘルメットホルダー付きリュック | バイクに残さないので、バイクからは盗まれない | 観光や食事のときに荷物になる |
| 隠す | トップケース、大容量シートバッグ | 外から見えない。雨や直射日光からも守れる | ヘルメットが入る容量が必要。布製のシートバッグは刃物に弱い |
以下、筆者が実際に試した「繋ぐ」から順に説明します。
バイクに置いて離れるなら必須!効果的なヘルメットロックと防犯グッズ
アゴ紐のDリングは切られる!チンガードを通すロック方法の重要性
ヘルメットをロックするとき、アゴ紐のDリング(金具)だけをホルダーに掛ける方法は、防犯上弱い掛け方です。
アゴ紐は布製なので、ハサミやカッターで切ることができます。アゴ紐が切られれば、ヘルメット本体は無傷のまま持ち去られてしまいます。そのため、フルフェイスヘルメットの場合は、チンガード(顎の部分)にワイヤーを通してロックをかけるのが基本です。
「ヘルメットロックは意味がない」と言われるのは、主にこのアゴ紐だけに掛ける方法の弱点によるものと考えられます。ロックそのものに意味がないのではなく、どこに通すかで防犯性が変わります。
多少面倒でも、「切れば持っていける」と思わせない状態を作ることが、ヘルメットを守る第一歩です。
ジェットヘルメットをロックするときの注意点
ジェットヘルメットにはチンガードがないため、フルフェイスと同じ通し方はできません。
ジェットヘルメットは顔の開口部が下端まで開いているため、顔の開口部から首の開口部へワイヤーを通しても、輪がそのまま抜けてしまいます。
可能な限り、金属パーツや強固な部分を通すように工夫しましょう。
純正ロックだけでは不十分?ワイヤーロックを追加すべき理由
多くのバイクには純正のヘルメットホルダーが付いていますが、防犯性を高めるなら、社外品のワイヤーロックの併用をおすすめします。
純正ホルダーは車種によって使いにくい場所にあり、無理に掛けるとヘルメットが車体に当たって傷がついたり、雨天時にヘルメットの内部が濡れたりすることがあります。また、ホルダーに掛けるのはアゴ紐のDリングなので、前の項目のとおり、アゴ紐を切られると外されてしまいます。
そこで役に立つのが、ダイヤル式や鍵式のワイヤーロックです。チンガードに通してハンドルやフレームなどの強固な部分に固定すれば、切断の手間が増えますし、見た目にも「防犯対策をしている」ことが伝わります。ポケットに収まるサイズのワイヤーロックを一つ持っておくと、ツーリング先で安心してバイクを離れられます。
ただし、ワイヤーロックは盗難を完全に防ぐものではありません。盗むのにかかる時間と手間を増やし、狙われにくくするためのものです。
切断されにくいワイヤーロック「RAINCORE」を実際に使ってみた
ここで、筆者が購入したワイヤーロックを紹介します。上記の理由から切断されにくいものを探していて見つけたのが、RAINCOREのセキュリティケーブルです。販売ページには「韓国特許製品」とあり、韓国製のようです。本来は自転車用として販売されているロックです。
販売ページの説明では、ケーブルは外側から合成繊維、ガラス繊維、複合繊維、複合繊維、合金鉄芯の5層で作られています。素材の違う層が重なっているので、1種類の切断方法だけでは切りにくそうです。

畳んだ状態は手のひらサイズで、持ち運びに便利です。写真のものは60cmです。

重さは実測で約100gと軽量です。

ヘルメットのチンガードに通すと、上の写真くらいの余裕があります。

ツーリングでヘルメットを置くとき、筆者が一番多いのはミラーに引っ掛けるパターンです。ミラーに掛けた状態でチンガードとハンドルをくぐらせると、60cmでちょうどの長さでした。車種によっては、60cmでは長さが足りないかもしれません。
写真の車両はBMW G650GSです。

ヘルメットをシートの上に乗せ、チンガードとグラブバーを繋いでみると、長さにはだいぶ余裕がありました。この置き方が一番良いかもしれません。ただし、シートバッグなどを載せているとこの位置にはヘルメットを置けませんし、強風でヘルメットが落ちて車体に当たる可能性もあります。

最後に、このセキュリティケーブルはダイヤル式で、ダイヤルが「カチッ、カチッ」と回るので、質感が高く感じられました。安価ではありませんが高価でもなく、この価格でツーリング時の安心が買えるなら安いと感じました。
60cmのほかに、より長いサイズも販売されています。ヘルメットと繋ぐ場所が離れている車種では、長めのサイズを検討してください。
バイクに残さない!ヘルメットを持ち歩くための便利アイテムと方法
観光地散策も快適に!両手が空くヘルメット用エコバッグの活用
最も確実な盗難対策は、バイクにヘルメットを残さず、自分で持ち歩くことです。
ただ、観光地を散策したり食事をしたりするときに、ヘルメットを手で持ち続けるのは邪魔になります。そこで便利なのが、コンパクトに折りたためるヘルメット収納用のエコバッグや、ショルダーベルト付きのヘルメットバッグです。肩から掛けられるので両手が空き、買い物や写真撮影がしやすくなります。
バッグに入れておけば、通行人にぶつけて傷つけたり、飲食店で座席に置いて汚したりする心配も減ります。
リュック派におすすめ!ヘルメットホルダー付きバックパック
普段からバックパックを背負ってツーリングをするなら、ヘルメットホルダー機能が付いたバックパックを選ぶ方法があります。バッグの前面にヘルメットを固定できるネットやフラップが付いており、降車後にヘルメットを固定してそのまま移動できます。
バッグの中身を圧迫せずにヘルメットを携行できるため、お土産などで荷物が増えても対応できます。バイクから離れる時間が長い場合や、目の届かない場所に駐輪する場合に向いています。
積載して隠すのも有効|トップケースやシートバッグを活用した保管術
雨も盗難も防ぐ!リアボックス(トップケース)への収納メリット
防犯性と利便性の両方が高いのは、鍵付きのリアボックス(トップケース)に収納する方法です。ハードケースに入れて施錠すれば、外から中身が見えないので、ヘルメットが狙われにくくなります。
急な雨でもヘルメットが濡れず、夏場の直射日光による内装の劣化や高温化も防げます。導入するときは、手持ちのヘルメットが入る容量かどうかを、メーカーの製品情報で確認しましょう。
筆者は、GIVI E470N SIMPLYⅢ 未塗装ブラック(すでに廃盤)を使用しており、フルフェイスヘルメットが1個、余裕を持って入れることができます。
大容量シートバッグを活用!ワイヤーロックとの併用テクニック
リアボックスを付けたくないバイクでも、大容量のシートバッグを使えばヘルメットを「隠す」ことができます。キャンプツーリングなどで使う大きなシートバッグなら、荷物の配置を工夫してヘルメットを収納できる場合があります。
バッグに入りきらない場合でも、レインカバーを全体にかけてヘルメットを外から見えなくする方法があります。ただし、シートバッグは布製で刃物に弱いため、バッグ内に収納する場合もバッグの上に固定する場合も、ワイヤーロックで車体とヘルメットを繋いでおきましょう。「隠す」と「繋ぐ」を組み合わせることで、防犯性を高められます。
ツーリング先でのヘルメット盗難リスクと被害に遭った際の影響
なぜヘルメットは盗まれるのか?盗難の現状と狙われやすい状況
ヘルメットは車体から簡単に外せて、そのまま持ち運べます。ミラーに掛けたりシートに置いたりしただけの状態では、数分のトイレ休憩やコンビニへの立ち寄りでも持ち去られる可能性があります。
高価なフルフェイスに限らず、ジェットヘルメットでも同じです。「自分は大丈夫」という油断が一番の隙になります。短時間でも、離れるときは対策をしておきましょう。
ヘルメットを盗まれたら帰宅困難に!レッカー代や違反点数のリスク
ヘルメットを盗まれた場合の最大の問題は、その場からバイクに乗って帰れなくなることです。
二輪車の運転者にはヘルメットの着用が義務づけられています(道路交通法第71条の4)。着用せずに運転すると乗車用ヘルメット着用義務違反となり、違反点数1点が付きます。反則金はありませんが、違反であることに変わりはなく、何より頭を守るものがないまま走ることになります。
結果として、家族に別のヘルメットを持ってきてもらう、ロードサービスでバイクを運んでもらう、最寄りのバイク用品店までタクシーで行って新しいヘルメットを買う、といった対応が必要になります。数千円のワイヤーロックを用意していなかったために、予定外の出費とツーリングの中断が重なることになります。
まとめ
- ヘルメットロックで切られやすいのはアゴ紐です。ワイヤーはアゴ紐ではなくチンガードに通し、車体の外れない部分と繋ぎましょう。
- ジェットヘルメットはチンガードがないため、通す場所を工夫する必要があります。
- バイクから長く離れるなら持ち歩く、積載できるならトップケースやシートバッグに隠す方法もあります。「隠す」と「繋ぐ」は組み合わせると効果的です。
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