「最近,リアブレーキの効きが悪い気がする……」 「そういえば,後ろのブレーキオイルって一度も見たことがないかも?」
あなたは今,愛車のブレーキ周りに少し不安を感じていませんか?
バイクのメンテナンスにおいて,エンジンオイルと同じくらい重要なのが「ブレーキフルード(ブレーキオイル)」です.
特にリア(後輪)側のフルードは,タンクの位置が分かりにくかったり,サイドカバーに隠れていたりと,ついつい点検を後回しにしがちです.
しかし,ここを放置するのは非常に危険です.
最悪の場合,走行中に突然ブレーキが効かなくなる「ベーパーロック現象」を引き起こす可能性があります.
安心してください.リアブレーキフルードの点検は,特別な工具を使わず,誰でも3分あれば確認可能です.
この記事では,初心者の方でも迷わないように,リアブレーキフルードの正しい点検方法(量・色)や,フルードが減ってしまう原因について分かりやすく解説します.
愛車とご自身の安全を守るために,ツーリング前のこの3分間を大切にしましょう.
リアブレーキフルードの点検が必要な理由は?
命に関わる「ベーパーロック現象」を防ぐため
なぜ,わざわざ液体の量や色を見る必要があるのでしょうか?
それは,ブレーキフルードが「吸湿性(湿気を吸いやすい性質)」を持っているからです.
長期間交換していないフルードは水分を含んでしまいます.その状態でブレーキを酷使して熱を持つと,水分が沸騰して配管内に気泡が発生します.この気泡が圧力を吸収してしまい,レバーやペダルを踏んでもブレーキがスカスカになって効かなくなる現象,これが「ベーパーロック現象」です.
定期的に点検を行い,劣化具合を把握しておくことは,事故を防ぐための最初の一歩なのです.
【画像で解説】リアブレーキフルードの点検手順
ブレーキは重要保安部品ですので,整備する際はプロにお任せしてください.
1.リザーバータンクの位置を探す

まずは,リアブレーキフルードが入っている容器「リザーバータンク」を探しましょう.車種によって位置は異なりますが,一般的には以下の場所にあります.
- 右側のステップ(足置き)付近:もっとも一般的な位置です.リアブレーキペダルの根元近くを確認してください.
- サイドカバーの内側:オフロード車や一部のネイキッドバイクでは,カバーを外さないと見えない場合があります.
- シートレール周辺:タンク別体式の場合,少し高い位置にマウントされていることがあります.
半透明のプラスチック容器で、中に液体が入っている小さなタンクが目印です。

HONDA XR BAJAなら上の写真の緑丸の位置にあります.

BMW G650GSなら上の写真の緑丸の位置にあります.
2. バイクを垂直にして「液量(レベル)」を確認する
タンクを見つけたら,まずは液量を確認します.ここで重要なのが「バイクを垂直にすること」です.サイドスタンドで斜めになった状態では,正確な量が見えません.
- センタースタンドがある場合は立てる。
- ない場合は、またがって車体を真っ直ぐにする(またはメンテナンススタンドを使う)。
タンクには「UPPER(上限)」と「LOWER(下限)」の2つのラインが引かれています。液面がこの2本の線の間にあれば、量は正常です。もしLOWERレベルギリギリ、あるいは下回っている場合は要注意です。
3. フルードの「色」で劣化具合を判断する
量と一緒に「色」もチェックしましょう.新品のブレーキフルードは,殆どの場合「無色透明」または「薄いあめ色(黄色)」です.
- 薄い茶色:少し劣化が始まっています.そろそろ交換の準備が必要です.
- 濃い茶色~黒色:完全に劣化しています.性能が落ちているため,直ちに交換が必要です.
外から見て明らかに黒ずんでいる場合は,タンクの底に汚れが溜まっている可能性も高いです.

これはG650GSのリアブレーキフルードタンクです.
半透明になっており,色も量も目視で点検できます.
上の写真の状態は,ダイヤフラムがフルードの液面についてしまっていますので量が分かりません.
なぜ減るの?リアブレーキフルードが減る2つの原因
原因1:ブレーキパッドの摩耗(最も多いケース)
「漏れていないのに,なぜかLOWERレベル近くまで減っている……」 この原因の9割は,ブレーキパッドが減っているからです.
ブレーキパッドが摩耗して薄くなると,その分ピストンが押し出されます.ピストンが奥へ移動した分,リザーバータンク内のフルードが配管へと送り込まれるため,タンク内の液面が下がるのです.
この場合,フルードを継ぎ足すのではなく,まずはブレーキパッドの残量を点検してください.パッドを新品に交換してピストンを戻せば,液面は元の位置に戻ります.安易に継ぎ足すと,パッド交換時にフルードが溢れ出る原因になります.

ということで,リアブレーキパッドを点検しましたが,異常に減っている様子はありませんでした.
原因2:どこかからフルードが漏れている(危険!)
ブレーキパッドが十分に残っているのにフルードが急激に減っている場合は,液漏れの可能性があります.
- ブレーキホースの継ぎ目
- キャリパーのシール部分
- リザーバータンクのホース
これらの場所から液体が滲んでいないか確認してください.もし漏れが見つかった場合は,走行を中止し,すぐにバイクショップへ相談するか,パーツ交換を行ってください.
ダイヤフラムが下がっている状態を直す

先程の点検で,ダイヤフラムが下がってきているのがわかりましたので,その状態を直します.
ブレーキフルードは塗装面などにダメージを与えますので,飛び散りなどを考えて周囲をウェスで覆っておきます.

タンクのフタは,反時計回りに回せば外れます.

フタを開けると,中には硬質な内蓋とゴム製のダイヤフラムが入っています(車種によって異なると思います).

フルードがこぼれたり,ダイヤフラムに付着したフルードが車体につかないように慎重にダイヤフラムを外したところです.
これでフルードの量が点検できます.「MAX」と「MINI」のラインのちょうど真ん中にフルードの液面があるので量は問題なさそうです.

ダイヤフラムと内蓋は外したときと同じく,フルードをこぼさないよう慎重にはめていきます.

内蓋とダイヤフラムをはめましたので,最後にフタをして終了となります.
フルードの色は若干黄色がかっています(新品時は無色透明でした)ので,近い内にフルード交換しようと思います.
セルフメンテナンスにおすすめのアイテム
交換・補充には「DOT4」規格が一般的
点検の結果,フルードが汚れていたり減っていたりする場合は交換が必要です. 多くのバイクでは「DOT4」という規格のブレーキフルードが採用されています(※旧車やハーレーなどはDOT5やDOT3の場合もあるため,リザーバータンクのキャップに刻印されている指定規格やサービスマニュアルなどを必ず確認してください).
補充などをする場合は,以下のアイテムを揃えておくとスムーズです.Amazonや楽天でセット購入するとポイントも貯まるのでお得です。
- ブレーキフルード(DOT4):ホンダやヤマハの純正品が高品質で安心です.
- 耐油チューブ&廃油入れ:古いフルードを捨てるために必要です.
- パーツクリーナー:フルードが塗装面に付くと塗装を溶かすため,すぐに洗浄できるよう必須です.
ちなみに今使っているブレーキフルードは奮発してASHのものです.